Vitis アナライザーの使用 - 2020.2 Japanese

Vitis 統合ソフトウェア プラットフォームの資料: アプリケーション アクセラレーション開発 (UG1393)

Document ID
UG1393
Release Date
2021-03-22
Version
2020.2 Japanese

Vitis™ アナライザーは、アプリケーションのビルドおよび実行中に生成されるレポートを表示および解析できるユーティリティです。アプリケーションがビルドされる際の Vitis コンパイラと、アプリケーションが実行される際のザイリンクス ランタイム (XRT) ライブラリの両方で生成されるレポートを確認できます。Vitis アナライザーでは、v++ コマンド ライン フローと Vitis 統合設計環境 (IDE) の両方からのレポートを表示できます。このツールは、vitis_analyzer を使用すると起動します (Vitis 環境の設定 を参照)。

最初に起動した場合は、Vitis アナライザーのホーム画面が表示され、サマリ ファイル、バイナリ コンテナー、ディレクトリのいずれかを開くことができるようになっています。これらのリンクのいずれかをクリックすると、ファイル ブラウザーが開き、説明される特定のタイプのファイルを選択できます。

図 1. Vitis アナライザー – ホーム画面
Open Summary
[Report Summaries] は、Vitis ツールでのアプリケーション開発の特定の段階に関連するレポートのコレクションです。ビルド プロセスの 2 段階、コンパイルとリンク、およびアプリケーションが実行されたときの run プロセスで作成されたサマリがあります。Open Summary をクリックすると、次のいずれかを開くことができます。
Compile Summary
コンパイル サマリ レポートは、コンパイル中に v++ コマンドで生成され、カーネル コンパイル プロセスのステータスを表示します。コンパイル サマリ レポートには、カーネル見積、カーネル ガイダンス、HLS 合成、コンパイル ログなど、コンパイル中に生成されるレポートも参照されます。
Link Summary
リンク サマリ レポートは、リンクおよび v++ ファイルの作成中に .xclbin コマンドで作成されます。リンク サマリ レポートには、システム見積、システム ガイダンス、タイミング サマリ、使用率、動作トレース、プラットフォームおよびシステム ダイアグラム、リンク ログなど、リンク中に生成されるレポートも参照されます。リンク サマリを開くと、Vitis アナライザーが .xclbin ファイルにリンクされた関連するカーネルのコンパイル サマリを自動的に開きます。
ヒント: タイミング サマリと使用率は、ビルド ターゲットを [Hardware] にした場合にのみ生成されます (エミュレーションの場合は生成されません)。
Package Summary
パッケージ サマリ レポートは v++ --package コマンドで生成され、エミュレーション スクリプトと SD カード出力の生成に関する情報を表示します。[Package Summary] レポートを表示すると、コマンド ラインで使用されたコンフィギュレーション ファイルと、生成されたログ ファイルも参照されます。
Run Summary
XRT ライブラリにより、アプリケーション実行中に実行サマリ レポートが作成されて、実行プロセスのサマリが表示されます。実行サマリ レポートには、ガイダンス、プロファイル サマリ、アプリケーション タイムライン、プラットフォームおよびシステム ダイアグラム、シミュレーション波形 (イネーブルにした場合のみ) など、アプリケーション実行中に生成されるレポートも表示されます。
重要: アプリケーションのランタイム実行時に生成されるレポートには、アプリケーションのプロファイリングに説明されるように、事前の設定が必要です。

v++ ビルド プロセス後にアプリケーションを実行すると、リンク サマリからの ID が実行サマリに割り当てられます。実行サマリおよびリンク サマリを開くと、Vitis アナライザーはその共通 ID に基づいてそれらをリンクします。

AI Engine Compile and Run Summaries
Vitis アナライザーでは、Versal AI エンジン のコンパイルおよび実行プロセスのレポートを表示することもできます。これらのレポートは、 『Versal ACAP AI エンジン プログラミング環境ユーザー ガイド』 (UG1076) で説明するように、 aiecompiler および aiesimulator で生成されます。
ヒント: Vitis IDE では、プロジェクト階層の最上位システム プロジェクトがあり、プロセッサ アプリケーション、ハードウェア カーネル、ハードウェア リンク プロジェクト、AI エンジン プロジェクトなど、デザインの各要素を含むサブプロジェクトが含まれます。上記のさまざまなサマリ レポートは、該当するサブプロジェクトに含まれます。コンパイル サマリは特定のハードウェア カーネル プロジェクトに、リンク サマリはハードウェア リンク プロジェクトに、パッケージ サマリはシステム プロジェクトに、実行サマリはプロセッサ アプリケーションに含まれます。 AI エンジン のサマリは、./Work フォルダーまたは ./aiesimulator 出力に含まれます。
Open Binary Container
選択した .xclbin ファイルを開いて、そのビルドのプラットフォーム図とシステム ダイアグラムを表示します。
Open Directory
開くディレクトリを指定します。ディレクトリの内容が繰り返し検証されて、どのタイプのファイルを開くか、どの個別ファイルを開くかを選択できるダイアログ ボックスが表示されます。
ヒント: ホーム画面の [Open Recent] セクションには、最近開いたサマリがリストされるので、すばやく開き直すことができます。

vitis_analyzer コマンドでは、ツールを起動してホーム画面を表示できるほか、ツールを開いたときに読み込むファイルを指定できます。ファイル名を指定すると、そのファイルを開くことができます。Vitis アナライザーでは、レポートの使用 に示すツールでサポートされるファイルはどれでも開くことができます。次に例を示します。

vitis_analyzer project1.run_summary

vitis_analyzer のコマンド ヘルプは、次のように入力すると表示できます。

vitis_analyzer -help