ザイリンクス ランタイム (XRT) ライブラリでは、デバッグ、プロファイリング、ホスト アプリケーションおよびカーネルを実行する際に XRT で記録されるメッセージの記録などを制御するためのさまざまなパラメーターが使用されます。これらの制御パラメーターはランタイム初期化ファイル (xrt.ini) で指定され、XRT の起動時の機能を設定します。
コマンド ラインを使用している場合は、xrt.ini ファイルを手動で作成し、ホスト実行ファイルと同じディレクトリに保存する必要があります。ランタイム ライブラリで、xrt.ini がホスト実行ファイルと同じディレクトリにあるかどうかがチェックされ、起動時にこのファイルを読み込んでランタムが設定されます。
ヒント:
Vitis IDE を使用している場合は、xrt.ini は設定に基づいて自動的に作成され、ホスト実行ファイルと同じディレクトリに保存されます。
ランタイム初期化ファイルのフォーマット
xrt.ini ファイルはテキスト形式のファイルで、キーのグループおよびその値が記述されています。セミコロン (;) またはシャープ記号 (#) で始まる行はコメント行です。グループ名、キー、キーの値では、大文字/小文字が区別されます。
次に、タイムライン トレース機能をイネーブルにし、ランタイム ログ メッセージを xrt.ini ビューに表示するよう指定した Console ファイルの例を示します。
#Start of Debug group
[Debug]
opencl_trace = true
#Start of Runtime group
[Runtime]
runtime_log = console
初期化キーには、次の 3 つのグループがあります。
- Runtime
- Debug
- Emulation
次の表に、サポートされる各グループのすべてのキー、各キーでサポートされる値、およびキーの簡単な説明を示します。
キー | 有効な値 | 説明 |
---|---|---|
api_checks
|
[true|false]
|
OpenCL API チェックをイネーブルまたはディスエーブルにします。
|
cpu_affinity
|
{N,N,...}
|
すべてのランタイム スレッドを指定の CPU に固定します。例:
|
exclusive_cu_context
|
[true|false]
|
ホスト アプリケーションが OpenCL に CU の内容のみ取得するよう命令できるようになるので、下位レベルの AXI 読み出し/書き込みを標準カーネルに使用できるようになります。 |
runtime_log
|
[null | console | syslog |
<filename>]
|
ランタイムのログを出力する場所を指定します。
|
verbosity
|
[0 | 1 | 2 | 3]
|
詳細なログ メッセージを生成します。デフォルト値は 0 です。 |
キー | 有効な値 | 説明 |
---|---|---|
aie_profile
|
[true|false]
|
AI エンジン ハードウェア パフォーマンス カウンターの実行時設定およびポーリングをイネーブルにします。VCK190 ハードウェア実行でのみ使用できます。
|
aie_profile_core_metrics
|
[heat_map|stalls|execution]
|
AI エンジン コア パフォーマンス カウンターから読み取られる統計情報の設定を制御します。デフォルトはオフheat_map です。注記: このオプションは、
aie_profile = true の場合にのみ有効です。 |
aie_profile_interval_us
|
<int>
|
AI エンジン カウンター値の読み出し間隔をマイクロ秒 (µ s) 単位で制御します。デフォルトの間隔は 1000 µs です。 注記: このオプションは、
aie_profile = true の場合にのみ有効です。 |
aie_profile_memory_metrics
|
[dma_locks|conflicts]
|
AI エンジン のメモリ パフォーマンス カウンターから読み取られる統計情報の設定を制御します。デフォルトはオフdma_locks です。注記: このオプションは、
aie_profile = true の場合にのみ有効です。 |
aie_trace
|
[true|false]
|
AI エンジン のランタイム設定およびイベント トレースの収集をイネーブルにします。VCK190 ハードウェア実行でのみ使用できます。
|
aie_trace_buffer_size
|
<string>
|
AI エンジン イベント トレースに割り当てられたバッファーの合計サイズを制御します。このサイズは、AI エンジン から送信されるさまざまなトレース ストリームの数に均等に分割されます。デフォルトは 8M です。 注記: このオプションは、
aie_trace =
true の場合にのみ有効です。 |
aie_trace_metrics
|
[functions|functions_partial_stalls| function_all_stalls|all]
|
指定したレベルのイベント トレースを生成するための AI エンジン レジスタの設定を制御します。 注記: このオプションは、
aie_trace =
true の場合にのみ有効です。 |
app_debug
|
[true|false]
|
OpenCL アプリケーションのデバッグをイネーブルにします。
|
continuous_trace
|
[true|false]
|
トレース用のファイルの連続ダンプとホストへのデバイス データの連続読み出しをイネーブルにします。
注記: このオプションは、
data_transfer_trace = off の場合にのみ有効です。 |
data_transfer_trace
|
[off|fine|coarse|accel]
|
PL に挿入されたモニターからのデータの収集をイネーブルにして、サマリおよびトレースに追加します。
|
debug
|
[true|false]
|
ソフトウェア エミュレーションのカーネル デバッグ機能をイネーブルにします。
|
lop_trace
|
[true|false]
|
オーバーヘッドの少ない OpenCL API ホスト トレースの生成をイネーブルにします。ほかの OpenCL オプションと組み合わせて使用しないでください。
|
native_xrt_trace
|
[true|false]
|
ネイティブ C/C++ API トレースの生成をイネーブルにします。
|
opencl_device_counter
|
[true|false]
|
生成された OpenCL サマリ ファイルにハードウェア カウンター情報を追加します。data_transfer_trace を指定した場合は必要ありません。
|
opencl_summary
|
[true|false]
|
OpenCL API サマリ レポートの生成をイネーブルにします。指定したフラグがこれだけの場合は、ホスト情報のみが含まれます。
|
opencl_trace
|
[true|false]
|
OpenCL API ホスト トレースの生成をイネーブルにします。
|
power_profile
|
[true|false]
|
アプリケーションの実行中に消費電力データのポーリングをイネーブルにします。
|
power_profile_interval_ms
|
<int>
|
消費電力カウンターの読み出し間隔をミリ秒単位で制御します。デフォルトの間隔は 20 ms です。 注記: このオプションは、
power_profile = true の場合にのみ有効です。 |
stall_trace
|
[on|off]
|
計算ユニットのストールのハードウェア生成をイネーブルにします。デフォルトはオフoff です。注記: このオプションは、
data_transfer_trace =
off の場合にのみ有効です。 |
trace_buffer_offload_interval_ms
|
<int>
|
デバイスからホストへのデバイス データの読み出しをミリ秒 (ms) 単位で制御します。デフォルトは 10 ms です。 注記: このオプションは、
data_transfer_trace = off の場合にのみ有効です。 |
trace_buffer_size
|
<string>
|
トレースのメモリ オフロードを指定して .xclbin が作成された場合、このオプションでトレース用にメモリに割り当てるバッファーのサイズが決定されます。デフォルトは 1M です。 注記: このオプションは、
data_transfer_trace = off の場合にのみ有効です。 |
trace_file_dump_interval_s
|
<int>
|
トレース ファイルのダンプ間隔を秒 (s) 単位で制御します。デフォルトは 5s です。 注記: このオプションは、
data_transfer_trace = off の場合にのみ有効です。 |
vitis_ai_profile
|
[true|false]
|
プロファイル サマリおよびその他のファイルは、Vitis AI アプリケーション層から取得されます。
|
キー | 有効な値 | 説明 |
---|---|---|
aliveness_message_interval
|
整数 | メッセージを出力する時間間隔を秒で指定します。デフォルトは 300 です。 |
debug_mode
|
[off|batch|gui]
|
エミュレーション中の波形の保存および表示方法を指定します。
注記: 波形を保存してシミュレータの GUI に表示するには、カーネルをデバッグをイネーブル (
v++ -g ) にしてコンパイルする必要があります。 |
print_infos_in_console
|
[true|false]
|
ユーザー コンソールへのエミュレーション情報メッセージの表示を制御します。エミュレーション情報メッセージは、emulation_debug.log というファイルに保存されます。
|
print_warnings_in_console
|
[true|false]
|
ユーザー コンソールへのエミュレーション警告メッセージの表示を制御します。エミュレーション警告メッセージは、emulation_debug.log というファイルに保存されます。
|
print_errors_in_console
|
[true|false]
|
ユーザー コンソールへのエミュレーション エラー メッセージの表示を制御します。エミュレーション エラー メッセージは、emulation_debug.log ファイルに保存されます。
|
user_pre_sim_script
|
Tcl ファイルへのパス | 1 回目の run では、シミュレーションを GUI モードで実行します。信号を追加し、Tcl コンソールからコマンドをコピーして Tcl スクリプトに保存します。 次の run では、バッチ モードで Tcl スクリプトを渡します。 |
user_post_sim_script
|
Tcl ファイルへのパス | シミュレーション後の操作は Tcl ファイルで指定しておいて、このオプションでファイルを指定します。Tcl で指定するコマンドはすべてシミュレーションの終了後に実行されます。 |
xtlm_aximm_log
|
[true|false]
|
ランタイム時の XTLM AXI4 メモリ マップのトランザクション ログをイネーブルにすると、すべてのトランザクションが xsc_report.log ファイルで確認できるようになります。 |
xtlm_axis_log
|
[true|false]
|
ランタイムジの XTLM AXI4-Stream トランザクション ログをイネーブルにすると、すべてのトランザクションが xsc_report.log ファイルで確認できるようになります。 |
timeout_scale
|
na/ms/sec/min
|
エミュレーションでの clPollStream API のタイムアウトをサポートするためのもので、clPollStream API で指定されたタイムアウトの単位を提供します。コードで指定されたタイムアウトの単位は ms なので、エミュレーションには使用できないことがあります。このため、エミュレーションで必要な場合は、timeout_scale で ms を別の単位に変更しておきます。 重要: エミュレーションでは、タイムアウトはデフォルトではイネーブルになっていません。このオプションを使用するには、
clPollStream タイムアウトをイネーブルにしておく必要があります。 |