検証用の Model Composer Hub ブロック - 2021.2 日本語

Vitis Model Composer ユーザー ガイド (UG1483)

Document ID
UG1483
Release Date
2021-10-22
Version
2021.2 日本語

AI エンジン デザインを検証するには、Model Composer Hub ブロックの [Block Parameters] ダイアログ ボックスで Create testbench をオンにし、使用可能なシミュレータ オプションを選択します。

図 1. Model Composer Hub のテストベンチおよびシミュレータ オプション

Create testbench をオンにすると、デザイン入力のテスト データまたはスティミュラスが記録され、後で理想的なゴールデン結果として使用できるように、シミュレーション結果がテスト ベクターとして保存されます。デフォルトでは、シミュレータは選択されていません。デザインを検証するには、Run AIE simulation オプションをオンにする必要があります。

シミュレーション タイムアウト値は、シミュレーションの実行を指定したサイクル数までに制限します。これは、入力データの量が限られているために必要です。タイムアウト値を指定しないと、AI エンジン カーネルが恒久的に繰り返し実行され、グラフが無限に実行されます。この状況を回避するには、次の図に示すように、[Run AIE Simulation] をオンにして [Simulatin timeout] に値を指定します。

図 2. AI エンジン シミュレーションのタイムアウト値の指定

デフォルトのタイムアウト値は 50,000 サイクルで、このクロック サイクル数後にシミュレーションが終了します。

Create testbench のみをオンにした場合、コードが生成され、Model Composer で作成されるターゲット ディレクトリに、コード生成 記載されているファイルに加え、次のファイルが作成されます (これが作成されるすべてではない場合あり)。

表 1. ターゲット ディレクトリ
ディレクトリ/ファイル サブディレクトリ/ファイル 説明
data/ input/ Simulink からの入力スティミュラス ファイルが含まれます。
  reference_output/: Simulink からのシミュレーション出力ファイルが含まれます。

シミュレータ オプションをイネーブルにすると、AI エンジン コード検証が次の 3 つの段階で実行されます。

  1. AI エンジン グラフ デザインをコンパイル。
  2. AI エンジン シミュレータを使用してシミュレーションを実行。
  3. 出力とゴールデン基準出力と比較してシミュレーション結果を検証。

Generate and Run をクリックすると、[Progress] ウィンドウで AI エンジン グラフ コードのコンパイル、シミュレーション、および検証の進捗状況を確認できます。

図 3. グラフ コードの進捗状況

コンパイルとシミュレーションが正しく実行されると、Model Composer によりターゲット出力がゴールデン出力と自動的に比較され、[Progress] ウィンドウまたは対応するシミュレーション ログ ファイルに次のようなメッセージが表示されます。

Comparing simulation results ...
Output data file : data/aiesimulator_output/Outl.txt.mod
reference data file : data/reference_output/Outl.txt
Simulation results MATCH.
**********************************************************
Test PASSED
Verification Complete
注記: シミュレータ出力で生成されるサンプル数がゴールデン出力よりも少なかったり多かったりすることもあります。このような場合でも、テスト結果には「PASS」と表示されます。これは、シミュレーション出力の最初の n 行がゴールデン出力の最初の n 行と一致し、結果が部分的に一致していることを示します。対応するシミュレータ出力の .diff ファイルに、基準出力との違いが示されます。
表 2. ターゲット ディレクトリ
ファイル名/親ディレクトリ ファイル名/サブディレクトリ 説明
data/ aiesimulator_output/ AI エンジン シミュレーションの出力を記録する .txt ファイルが含まれます。実際の出力ファイルに加え、ゴールデン結果との違いを示す .diff ファイルも生成されます。

これに加え、aiecompiler により、さまざまな設定およびバイナリ ファイルが Work_aiesim ディレクトリに生成されます。コンパイル用のディレクトリの構造と内容の詳細は、 『Versal ACAP AI エンジン プログラム環境ユーザー ガイド』 (UG1076) を参照してください。

Run AIE Simulation オプションをオンにすると、次の図に示すオプションが設定可能になります。1 つまたはすべてのオプションをオンにし、Generate and Run をクリックします。

図 4. [Run AIE Simulation] オプション