Vitis™ などのグラフィカル開発環境は、新規プロセッサの開発を高速化するのに有益です。初心者でも使用できるように、よく使用される関数のほとんどが抽象化され、論理的なウィザードにまとめられています。スクリプトを記述して実行できる機能も、ツールでの処理を拡張する柔軟性を提供するために重要です。スクリプトは、毎晩実行する回帰テストを開発する際や、よく使用されるコマンド セットを実行する際に特に便利です。
XSCT (ザイリンクス ソフトウェア コマンド ライン ツール) は、Vitis IDE のインタラクティブでスクリプト記述可能なコマンド ライン インターフェイスです。XSCT のスクリプト言語は、その他のザイリンクス ツールと同様、Tcl (ツール コマンド言語) に基づきます。XSCT コマンドはインタラクティブに実行でき、またコマンドをスクリプトに記述して自動化することもできます。
XSCT は、次のような Vitis プロジェクト管理、コンフィギュレーション、ビルド、およびデバッグをサポートしています。
- プラットフォーム プロジェクトおよびドメインを作成
- システム プロジェクトおよびアプリケーション プロジェクトを作成
- ドメイン/BSP およびアプリケーションをコンフィギュレーションおよびビルド
- リポジトリを管理
- ツールチェーン プリファレンスを設定
- ハードウェア ターゲットにアプリケーションをダウンロードして実行
- レジスタを読み出しおよび書き込み
- ブレークポイントとウォッチ式を設定
このリファレンス ガイドの情報は、ザイリンクス プロセッサをターゲットとしたソフトウェア開発およびデバッグ用のスクリプトを作成するのに必要な情報を提供します。
このガイドでは、ザイリンクスの製造するさまざまな製品に対して略語を使用しています。次に例を示します。
- ソース コードに
ps7
が使用されている場合、 Zynq®-7000 SoC ファミリの製品、厳密には SoC のデュアル コア Cortex® Arm® A9 プロセッサがターゲットであることを示します。 - ソース コードに
psu
が使用されている場合、Cortex クワッド コア Arm A53、デュアル コア Arm R5、Arm Mali 400 GPU、および MicroBlaze™ プロセッサ ベースのプラットフォーム管理ユニット (PMU) を含む Zynq® UltraScale+™ MPSoC デバイスがターゲットであることを示します。 - プロセッサを含むハードウェア システムに関する情報を Vitis IDE およびザイリンクス ソフトウェア コマンド ライン ツール (XSCT) などのエンベデッド ソフトウェア開発ツールに転送するのには、ハードウェア定義ファイル (XSA) が使用されます。このファイルには、インスタンシエートされるペリフェラル、クロック、メモリ インターフェイス、およびメモリ マップの情報が含まれます。
- ドメイン/BSP に関する情報の保存には、マイクロプロセッサ ソフトウェア仕様 (MSS) ファイルが使用されます。このファイルには、ドメイン/BSP の OS 情報、ハードウェア デザインの各ペリフェラルに関連付けらているソフトウェア ドライバー、STDIO 設定、および最適化やデバッグ情報レベルなどのコンパイラ フラグに関する情報が含まれます。