非プロジェクト モードの使用 - 2022.1 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: デザイン フローの概要 (UG892)

Document ID
UG892
Release Date
2022-04-20
Version
2022.1 日本語

この章では、プロジェクト モードと非プロジェクト モード間の違いについて説明します。 Vivado® Design Suite の非プロジェクト モードを理解するには、「プロジェクト モードの使用」で説明されているプロジェクト モードについても知っておく必要があります。

非プロジェクト モードでは、全フローで Tcl コマンドを使用してデザインをコンパイルします。このモードの場合、インメモリ プロジェクトが作成され、 Vivado® でデザインのさまざまなプロパティを管理できるようになりますが、プロジェクト ファイルはディスクに書き込まれず、プロジェクト ステータスは保持されません。

ヒント: インメモリ プロジェクトは、Vivado ツールで使用できるように、非プロジェクト モードでも生成されますが、デザインの一部としては保持されません。

Tcl コマンドを使用すると、柔軟なデザインの設定および実行、解析およびデバッグが可能です。Tcl コマンドは、バッチ モードで実行するか、Vivado Design Suite Tcl シェルまたは Vivado IDE の Tcl コンソールから実行できます。非プロジェクト モードのフローを使用すると、ユーザーが各デザイン フロー段階を完全に制御できますが、ソース ファイル、レポート、中間結果 (デザイン チェックポイント) を手動で管理する必要があります。さまざまなレポートを生成し、デザイン ルール チェック (DRC) を実行し、インプリメンテーション プロセスのどの段階でもデザイン チェックポイントを書き出すことが可能です。

プロジェクト モードの場合と異なり、複数の run の作成および管理、ソース ファイル管理、デザイン状態のレポートなどの機能は含まれません。ソース ファイルがアップデートされるたびに、デザインを手動で実行し直す必要があります。このモードの場合、デフォルトではレポートや中間ファイルは作成されませんが、必要な場合は Tcl コマンドを使用して、さまざまなレポートやデザイン チェックポイントを作成できます。また、Vivado IDE の GUI ベースのデザインの解析および制約の設定を実行することもできます。現在のデザインをメモリ内で開くか、Vivado IDE で保存したデザイン チェックポイントを開くことができます。

Vivado IDE を非プロジェクト モードで起動する場合、Flow Navigator、プロジェクト サマリ、Vivado IP カタログなどのプロジェクト モードの機能は、Vivado IDE には含まれません。非プロジェクト モードの場合、Vivado IDE 内で合成 run やインプリメンテーション run を開いたり変更したりできません。ただし、デザイン ソース ファイルが元のディレクトリにある場合は、Vivado IDE の別のウィンドウでデザイン オブジェクトを選択したときにクロスプローブできます。たとえば、デザイン オブジェクトを右クリックして [Go To Instantiation]、Go To Definition、または Go To Source コマンドを使用すると、関連する RTL ソース ファイルが開き、該当する行がハイライトされます。

重要: ソース ファイルと run 結果の管理、デザインおよびツール設定の保存、デザイン ステータス、IP 統合などのプロジェクト モードの機能の一部は、非プロジェクト モードでは使用できません。

デザイン フローの進行に伴い、レポートまたはデザイン チェックポイントを生成してメモリ内のデザインを保存する必要があります。デザイン チェックポイント (DCP) とは、メモリ内のデザインを正確に表すファイルです。デザイン チェックポイントは、デザイン フローの各段階後 (合成後、最適化後、配置後など) に保存できます。Vivado Design Suite に DCP ファイルを読み込むと、チェックポイント ファイルのデザイン ステートを復元できます。

また、Vivado IDE で DCP を開いて、制約の割り当ておよびデザイン解析を実行することも可能です。アクティブ デザインはメモリ内にあり、加えた変更は自動的にその後のフローに渡されます。また、変更は新しい制約ファイルまたはデザイン チェックポイントに保存できます。

非プロジェクト モードのほとんどの機能はプロジェクト モードでも使用できますが、プロジェクト モードの機能の一部は非プロジェクト モードでは使用できません。使用できない機能は、ソース ファイルおよび run 結果の管理、デザインおよびツール コンフィギュレーションの保存、デザイン ステータス、および IP の統合です。ただし、非プロジェクト モードでは、一部のプロセスをスキップできるので、デザインのメモリ フットプリントを削減でき、プロジェクトに関するディスク容量を節約できます。