Clock Pessimism Removal (CPR) - 2022.1 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: デザイン解析およびクロージャ テクニック (UG906)

Document ID
UG906
Release Date
2022-05-04
Version
2022.1 日本語

一般的なタイミング パス レポートには、ルートからシーケンシャル セルのクロック ピンまでの、ソースおよびデスティネーション クロック パスの遅延の詳細が示されます。次に説明するように、ソースおよびデスティネーション クロックは、共通回路上であっても、異なる遅延で解析されます。

図 1. クロック ツリーの共通部分

共通部分のこの遅延差により、スキュー算出における見積もりがさらに悪くなります。非現実的なスラックが算出されないようにするため、この不必要に悪い見積もり部分が Clock Pessimism Removal (CPR) 値と呼ばれる遅延により補正されます。

Clock Pessimism Removal (CPR) = common clock circuitry (max delay - min delay)

CPR は、実行する解析のタイプによって、スキューに足されるか、スキューから引かれます。

  • 最大遅延解析 (セットアップ/リカバリ)

    CPR はデスティネーション クロック パス遅延に足されます。

  • 最小遅延解析 (ホールド/リムーバル)

    CPR はデスティネーション クロック パス遅延から引かれます。

Vivado Design Suite では、各タイミング パスのクロック スキューが次のようにレポートされます (この場合はホールド解析)。

  • DCD: デスティネーション クロック遅延
  • SCD: ソース クロック遅延
  • CPR: Clock Pessimism Removal
    Clock Path Skew: 0.301ns (DCD - SCD - CPR)
    Destination Clock Delay (DCD): 2.581ns
    Source Clock Delay (SCD): 2.133ns
    Clock Pessimism Removal (CPR): 0.147ns

多くの場合、CPR の精度は配線の前後で変わります。たとえば、ソース クロックとデスティネーション クロックが同じで、始点クロック ピンと終点クロック ピンが同じクロック バッファーで駆動されるタイミング パスがあるとします。

配線前は、共通点はクロック ネット ドライバー (クロック バッファーの出力ピン) です。CPR は、クロック ルートからクロック バッファーの出力ピンまでの不必要に悪い見積もり部分のみを補正します。

配線後は、共通点はデバイス アーキテクチャのソース クロック パスとデスティネーション クロック パスで共有される最後の配線リソースです。この共通点はネットリストには表されないので、タイミング レポートから共通クロック回路の遅延差を減算することにより対応する CPR を直接求めることはできません。タイミング エンジンは、ユーザーが直接アクセスできないデバイス情報に基づいて CPR 値を算出します。