コマンド ラインからの除外設定の作成 - 2022.1 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: デザイン解析およびクロージャ テクニック (UG906)

Document ID
UG906
Release Date
2022-05-04
Version
2022.1 日本語

特定の DRC および Methodology 違反の除外設定は、それぞれ固有のものです。違反は、文字列やさまざまなデバイス、およびピン、セル、ネット、Pblock、サイト、タイルなどのデザイン オブジェクトの集まったものです。DRC、Methodology、および CDC 違反には複数のエレメントを複数含めることができますが、中には、これらのエレメントが 1 つしかないものもあります。すべての文字列およびオブジェクトの順番と内容は重要なので、保存しておく必要があります。除外設定の引数が間違った順番で指定されていると、どの違反も除外されないか、間違った違反が除外されることがあります。

特定の違反 (たとえば TIMING-14#1) または違反クラス (たとえば TIMING-14) に対して除外設定を手動で作成する前に、まず GUI または違反オブジェクトからサンプルの除外設定を作成してみることをお勧めします。write_waiver または write_xdc コマンドを使用して除外設定をエクスポートします。これで、システムで作成された除外設定の内容を元の違反に関連付けて、指定する必要のある文字列およびオブジェクトの順番を理解してください。この情報は、同じ CDC、DRC、または Methodology ID (例: TIMING-14) を持つほかの除外設定のために出力できます。

CDC、DRC、および手法の除外設定には、必須の引数が 2 つあります。

  • ID: 除外設定される違反またはチェック ID。ID は -id を使用して指定します。たとえば、CDC-1、TIMING-14、PDRC-1569 などです。一度に指定できる ID は 1 つのみです。
  • Description: 複数行の文字列がサポートされます。チーム メンバーが理解できるような内容を含めておく必要があります。この説明は -description を使用して指定します。

-type コマンド ライン オプションを使用して除外設定のタイプ (CDC、DRC、または Methodology) を指定します。間違ったタイプで作成した除外設定は、どの違反とも一致しません。たとえば、CDC 違反を除外するには、除外設定のタイプを CDC に設定する必要があります。タイプを指定しないと、システムは -id で指定した ID からタイプを推論します。ユーザー名は -user オプションを使用して上書きできます。デフォルトでは、Vivado Design Suite のユーザー ID が使用されます。

除外設定では、XDC の適用範囲限定のメカニズムがサポートされます。現在のインスタンスは除外設定の作成前に変更できます。この場合、現在のインスタンス情報は除外設定と共に保存され、除外設定を XDC としてエクスポートしておくと復元できます。適用範囲を指定した除外設定を作成する際は、-scope コマンド ライン オプションを使用して、ワイルドカードが適用範囲指定されるようにしてください。

除外設定は、まったく同じ引数を持つ別の除外設定が既にある場合は、重複として認識されます。メモリ フットプリントおよびランタイムを削減するため、重複している除外設定は保存されず、次のようなメッセージが表示されます。

WARNING: [Vivado_Tcl 4-935] Waiver ID 'CDC-13' is a duplicate and will not be added 
again.

RTSAT-* などの DRC/Methodology チェックは読み出し専用なので、除外設定できません。除外可能な DRC/Methodology チェックのリストは、DRC/Methodology チェック オブジェクトの IS_READ_ONLY プロパティをオンにするとフィルターできます。次に例を示します。

set allWaivableChecks [get_drc_checks -filter {!IS_READ_ONLY}]
set allWaivableChecks [get_methodology_checks -filter {!IS_READ_ONLY}]

次のメッセージは、DRC RTSTAT-12 などの読み出し専用チェックが除外される場合に、create_waiver で生成されるエラー メッセージの例です。

ERROR: [Vivado_Tcl 4-934] Waiver ID 'RTSTAT-12' is READONLY and may not be waived.