セットアップ チェックは、2 つのクロック間における最悪の見積もりのセットアップ関係に対してのみ実行されます。デフォルトでは、これはソース エッジとデスティネーション エッジの最小の正の差に対応します。たとえば、異なるクロックの立ち上がりエッジで動作する 2 つのフリップフロップの間のパスを考えてみます。このパスのソース エッジとデスティネーション エッジは、クロックの立ち上がりエッジのみです。
クロックは次のように定義されます。
-
clk0
: 周期 6 ns、最初の立ち上がりエッジ 0 ns、最初の立ち下がりエッジ 3 ns。 -
clk1
: 周期 4 ns、最初の立ち上がりエッジ 0 ns、最初の立ち下がりエッジ 2 ns。
次の図に示すように、2 つのセットアップ関係 Setup(1) と Setup(2) があります。
図 1. セットアップ関係
clk0
から clk1
までの最小の正の差は 2 ns で、これは Setup(2) に対応します。共通周期は 12 ns で、2 つのクロックの 2 つの同時アライメント間の時間に対応します。
ヒント: クロック関係は、クロック ルートからフリップフロップのクロック ピンまでの挿入遅延を適用する前の理想的なクロック波形を使用して確立されます。
重要: 両方のクロックの 1000 サイクル間で共通周期が見つからない場合は、この 1000 サイクルでのワースト セットアップ関係がタイミング解析に使用されます。これら 2 つのクロックは、共通周期なしのクロックと呼ばれます。解析は、最悪の見積もり条件には対応していないと考えられます。これらのクロック間のパスを確認し、その有効性を評価し、非同期パスとして処理できるかどうかを判断する必要があります。
パス要件がわかったら、スラックの算出にパス遅延、クロックのばらつき、およびセットアップ タイムが追加されます。一般的なスラックの式は、次のとおりです。
データ所要時間 (セットアップ) | = |
デスティネーション エッジ時間 + デスティネーション クロック パス遅延 - クロックのばらつき - セットアップ タイム |
---|---|---|
データ到着時間 (セットアップ) | = |
ソース エッジ時間 + ソース クロック パス遅延 + データパス遅延 |
スラック (セットアップ) | = | データ所要時間 – データ到着時間 |
これらの式が示すように、所要時間の前にデータが到着すると、セットアップ スラックが正になります。
リカバリ チェックはセットアップ チェックと似ていますが、プリセットやクリアなどの非同期ピンに適用されます。関係はセットアップと同様に確立され、スラックの式もセットアップ タイムの代わりにリカバリ タイムが使用されることを除けば同じです。