複数のデバッグ ツリー - 2022.1 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: プログラムおよびデバッグ (UG908)

Document ID
UG908
Release Date
2022-04-26
Version
2022.1 日本語

Debug Bridge IP では、複数の独立したデバッグ ツリーの設定およびコンフィギュレーションがサポートされます。アプリケーションで複数のデバッグ ツリーを使用すると、特定のデバッグ ロジックをほかのユーザーには非表示にしつつ、特定のユーザー (システム管理者など) のみに表示されるようにできます。独立したデバッグ ツリーは、スタンドアロンと Dynamic Function eXchange デザインの両方で設定でき、それぞれサポートされるデバッグ コア (ILA、VIO など) に接続できます。

この機能を使用するには、イネーブルにするデバッグ ツリーごとに、[From AXI to BSCAN] か [From PCIe to BSCAN] モードのいずれかで Debug Bridge IP を 1 つインスタンシエートする必要があります。たとえば、複数のユーザー クラスが DUT にアクセスするようなデータセンター デザインの場合、カスタマー可視のアドレス マップでは [From AXI to BSCAN] モードで、管理者可視のアドレス マップでは [From AXI to BSCAN] モードで Debug Bridge IP をインスタンシエートできます。

管理者またはカスタマーがデザインをデバッグできるようになったら、デバッグ コアとの通信方法 (PCIe または JTAG ピン) に基づいた正しいデバイス オフセットで、Vivado ハードウェア マネージャーを使用してデバッグ ブリッジに接続するだけですみます。このモードでの PCIe コアと Debug Bridge を使用した XVC フローの詳細およびデザイン例については、 UltraScale+ Devices Integrated Block for PCI Express LogiCORE IP 製品ガイド』 (PG213) を参照してください。

次の表に、異なる Debug Bridge モードとそれらのモードで使用可能な機能を示します。

表 1. Debug Bridge モード
Debug Bridge モード XVC サポート リコンフィギャラブル パーティションで使用可能 JTAG フォールバック サポート MDM サポート
From AXI to BSCAN 1 2 3
From JTAG to BSCAN 1 2 3
From PCIe to BSCAN あり 1 2 3
From PCIe to JTAG あり 1 該当なし 該当なし
From BSCAN to DebugHub × 1 該当なし 3
BSCAN Primitive × × 該当なし 3
From AXI to JTAG あり なし なし
  1. BSCAN マスター カウントは 0 よりも大きく、同じ RP 内の Debug Bridge インスタンスまたは MicroBlaze/MDM コアのみに接続可能です。
  2. 内部 BSCAN モードは Debug Bridge がスタテック パーティションにある場合にのみ使用可能で、外部 BSCAN モードは Debug Bridge がスタティック パーティションまたは RP にある場合に使用可能です。
  3. BSCAN マスター カウントは 0 よりも大きく、同じ RP 内の Debug Bridge インスタンスまたは MicroBlaze/MDM コアのみに接続可能です。

次の図は RP の XVC Debug Bridge を使用したデザインを表したものです。

図 1. RP の XVC Debug Bridge を使用した Dynamic Function eXchange デザイン

これは、カウンター RP およびシフター RP という 2 つのリコンフィギャラブル パーティションを持つ Dynamic Function eXchange デザインです。この図は、スタティックおよび RP の両方の領域で使用される Debug Bridge モードをそれぞれ示しています。

デザインのスタティック パーティションには、Debug Bridge IP が 2 つあります。1 つ目の Debug Bridge IP は BSCAN プリミティブ モードで、BSCAN マスター インターフェイスを 3 つ持つように設定されています。この 3 つの BSCAN マスター インターフェイスのうち 2 つは、カウンター RP およびシフター RP パーテイションの Debug Bridge インスタンスに接続されていて、デバッグ目的で並列パスを提供しています。3 つ目の BSCAN マスター インターフェイスは、From BSCAN to Debug Hub モードで設定されているスタティック パーティション内の Debug Bridge インスタンスに接続されています。From BSCAN to Debug Hub モードで設定されている Debug Bridge は、デザインのさまざまなデバッグ IP (ILA、VIO、JTAG-to-AXI など) と通信できます。この場合は ILA IP と通信します。

このシステムでは、カウンター RP パーティションには AXI-to-BSCAN モードでインスタンシエートされている Debug Bridge が含まれています。この Debug Bridge を XVC モードで使用すると、Debug Bridge は AXI4-Lite インターフェイスを介して XVC コマンドを受信します。この Debug Bridge は、ソフト BSCAN (バウンダリスキャン) インターフェイスを介して、デザインのほかの Debug Bridge インスタンスと通信できます。この Debug Bridge は 2 つの BSCAN マスター インターフェイスを含むように設定されているので、MDM、および From BSCAN to Debug Hub モードで設定されている Debug Bridge インスタンスと通信します。From BSCAN to Debug Hub モードで設定されている Debug Bridge は、デザインのさまざまなデバッグ IP (ILA、VIO、JTAG-to-AXI など) と通信できます。この場合は ILA IP と通信します。

一方、シフター RP パーティションには From BSCAN to Debug Hub モードで設定されている Debug Bridge インスタンスが 1 つだけ含まれていて、デザインのさまざまなデバッグ IP (ILA、VIO、JTAG-to-AXI など) と通信できます。この場合は ILA IP と通信します。

詳細は、 『Debug Bridge LogiCORE IP 製品ガイド』 (PG245) を参照してください。

Debug Bridge モードの一部は次の図で説明されています。