Nested DFX を管理する Tcl コマンド - 2022.1 日本語

pr_subdivide

1 つ目の新しい Tcl コマンドは pr_subdivide です。コマンド名からわかるように、このコマンドは RP を 1 つまたは複数の下位 RP に分割します。

pr_subdivide
Description: Subdivide an RP into one or more lower-level 
RPs when using the Nested Dynamic Function eXchange solution.
Syntax: 
pr_subdivide [-cell <arg>] [-subcells <arg>] [-quiet] [-verbose] [<from_dcp>]
Usage: 
Name     Description
-------------------------
[-cell]    (Required) Specify parent RP module name
[-subcells]  (Required) Specify child RP module names
[-quiet]   Ignore command errors
[-verbose]  Suspend message limits during command execution
[<from_dcp>] (Required) Specify OOC synthesized checkpoint path for the RM specified by option -cell

pr_subdivide は、DFX デザインの最初のインプリメンテーションで使用され、スタティック部分の結果を作成します。これは、スタティックが一番上位にある場合か、さらに分割されたばかりの RP を含む場合に使用します。Vivado で完全に配線済みの最初のデザイン チェックポイントを開いた状態で pr_subdivide を実行すると、次のタスクが自動的に実行されます。

• ターゲット RP がまだブラック ボックスでない場合は、そのターゲット RP に対して update_design -black_box が実行されます。
• ターゲット RP をブラック ボックスにしていない場合は、残りのデザインに対して lock_design -level routing が実行されます。
• <from_dcp> 引数にこの RP の合成済み RM チェックポイントが指定されて読み込まれます。この RM には、それ自体が RP になる 1 つまたは複数の階層インスタンス (ロジックまたはブラック ボックスで満たされる) が含まれる必要があります。
• 元のパーティション (-cell ターゲット) から HD.RECONFIGURABLE プロパティが 1 つまたは複数の下位パーティション (-subcells オプション) にプッシュされます。
• 元のパーティションに HD.RECONFIGURABLE_CONTAINER プロパティがプレースホルダーとして配置されます。このプロパティがないと、pr_recombine でコンテキストがこのレベルに戻されません。

ターゲット RP が既にブラック ボックスの場合、pr_subdivide で現在配置配線されているすべてをロックする前に lock_design -level routing を実行する必要があります。lock_design が pr_subdivide より後に実行されると、新しく読み込まれた RM ネットリストに追加された DONT_TOUCH プロパティにより、論理最適化がされなくなり、パフォーマンスが落ちます。

pr_subdivide は完全に配線済みのデザインで実行する必要があるので、さらに分割できるのは一度に 1 つの RP のみです。デザインに複数の RP が含まれる場合、たとえばその上のデザインに RP B が RP A と同じレベルにある場合、2 つ目の RP がさらに分割される前に最初に分割された RP をインプリメントする必要があります。RP はいくつでもさらに分割できますが、デザインのその他すべての RP 内に配置配線済み RM が含まれる場合のみ作成できます。

同様に、RP をさらに分割した直後に、その下位 RP 用の新しいスタティック エリアを最初にインプリメントしないと、新しい子 RP にさらに分割することはできません。デザイン構造 に示す図では、RP A が 2 つの RP W および X に分割されており、W または X をさらに分割する前に、A1 のスタティック結果をロックするためモジュール A1 をインプリメントする必要があります。

pr_recombine

2 つ目の新しい Tcl コマンドは pr_recombine です。このコマンドはすべての下位 RP を削除するのに使用され、RP の定義を親セルに格納します。このコマンドは、親レベルの RM のビットストリーム生成や、特定コンフィギュレーションの解析で特定のデザイン構造を返す場合のみ必要なので、pr_subdivide ほど頻繁には使用されません。

pr_recombine
Description: Re-establish a parent cell as a RP while removing 
lower-level RPs when using the Nested Dynamic Function 
eXchange solution.
Syntax: 
pr_recombine [-cell <arg>] [-quiet] [-verbose]
Usage: 
Name    Description
-----------------------
[-cell]   (Required) Specify reconfigurable container module name
[-quiet]  Ignore command errors
[-verbose] Suspend message limits during command execution

pr_recombine は HD.RECONFIGURABLE プロパティをターゲット セルに移動し、それより下のセルからは削除します。

ターゲット セルには、現在 pr_subdivide により HD.RECONFIGURABLE_CONTAINER プロパティが含まれているはずなので、そのセルが pr_recombine では実行可能なターゲットとして認識されます。