アイ スキャンの原理

Versal ACAP GTY および GTYP トランシーバー アーキテクチャ マニュアル (AM002)

Document ID
AM002
Release Date
2021-05-05
Revision
1.2 日本語

アイ スキャン アーキテクチャにより、次のようなアイ マージンの解析が可能です。

  • 統計アイの表示: アイ スキャン ブロックは一定期間に渡ってすべてのデータ エラーを継続してカウントできるため、BER の計算およびアイ ダイアグラムの生成が可能です (RX マージン解析 の右側参照)。
  • 波形の表示: エラーの原因となりやすいことがわかっているデータ パターン (またはほかの一意のパターン) があれば、アイ スキャン ブロックはそのパターンのビットあたりの電圧レベルを統計的に判断し、リカバリ パターンのアナログ波形を生成できます。
  • スコープの表示: アイ スキャン ブロックは収集したデータを後処理して、標準的なスコープ表示 (導関数に基づく表示) を生成できます (RX マージン解析 の左側参照)。
  • 診断モード: プログラム可能なさまざまなトリガー条件のもとで、データ バスの内容が瞬時にキャプチャされて読み出し可能です。これを使用して、DFE 動作に起因するバースト エラーのパターンなどを検証できます。

RX イコライザー後にサンプリングを行うことによって、RXDATA は平均化された差動波形から復元されます。サンプリングの水平方向の位置は CDR 機能で決定され、垂直方向の位置は微分 0 です。これを「データ サンプル」として表します (RX マージン解析 参照)。

アイ スキャン機能を有効にするには、データのサンプル ポイントからプログラマブル (水平および垂直方向) オフセットを備えたサンプラーがもう 1 つ必要です。これを「オフセット サンプル」として表します (RX マージン解析 参照)。

シングル アイ スキャンの測定は、データ サンプルの値 (サンプル数) とオフセット サンプルがデータ サンプルに一致しない時間 (エラー数) の累算によって成立します。プログラムされた垂直方向と水平方向のオフセット位置のビット エラー率 (BER) は、サンプル数に対するエラー数の比率です。サンプル数の範囲は、何万単位から 1014 (100 兆) 以上まで可能です。

水平方向および垂直方向オフセットの全範囲に対して、この BER 測定を繰り返すことで、RX マージン解析 に示すような BER マップが生成されます。これは一般的に統計アイ (Statistical Eye) と呼ばれ、カラー マップは log10 (BER) を表しています。この画像のアイは、オシロスコープのアイよりも明らかに小さくなっています (RX マージン解析 参照)。これは、サンプル数が大幅に少なくオシロスコープで測ることのできない低頻度のジッターやノイズによって縮小されているためです。

この機能は、受信されるデータ パターンに制限をかけることがなく、RX 設定の変更も必要ないため、アプリケーション データが受信中でもエラーを生じさせることなく実行できます。さらに、属性を読み書きする機能のみ必要で、インターコネクト ロジックを使用する必要はありません。