VCO は 45° ずつ位相の異なる 8 つのクロックを出力でき、0°、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315° の位相シフト設定が常に可能です。VCO の周波数が高くなるほど、位相シフトの分解能は細かくなります。VCO には固有の動作周波数範囲があるため、位相シフトの分解能は (1/8Fvcomin) ~ (1/8Fvcomax) ps の範囲として求めることができます。
分周器 O0 ~ O6 とフィードバック カウンター M (MMCM および XPLL の場合) の出力間、または分周器 O0 ~ O3 の出力間でスタティック位相シフトを実行するには、カウンターの前にある PI にそれぞれ異なる位相ステップ値を設定します。各 PI に設定できるステップ値は 32 あり、VCO または DCO サイクルの位相を 1/32 単位で選択できます。スタティック位相シフトでは、ステップ値として 0、4、8、…、28 のみを選択できます。PI で得られる最小位相分解能は、次式で求められます (DPLL の場合は式の VCO を DCO に変更)。
カウンター間の位相差は、ps の単位で見るとカウンターの分周比によって変化しませんが、角度として見るとカウンターの分周比によって変化します。出力を基準にした角度として表した最小位相ステップ分解能は、次式で求められます。
たとえば PI0 の位相ステップを 0、PI1 の位相ステップを 16 とした場合、O0 と O1 の出力間の位相差 (公称値) を 0.5 × VCO 周期または 0.5 x DCO 周期とできます。クロックを分周しない場合、これは 180° の位相差となります。ただし、両方のカウンターが 2 分周モードの場合、これら 2 つの位相差は 90° となります。両方のカウンターが 4 分周モードの場合、これら 2 つの位相差は 45° となります。
また、各カウンターは VCO 周期または DCO 周期の倍数の位相シフトを追加できます。これをカウンター出力における角度に変換すると、各カウンターは 360°/CLKOUT_DIVIDE の分解能で位相シフトを追加できることになります。位相シフトの最大範囲も CLKOUT_DIVIDE の値によって決定します。CLKOUT_DIVIDE ≤ 256 の場合、最大位相シフトは 360° です。CLKOUT_DIVIDE > 256 の場合、最大位相シフトは次式で求められます。
位相シフトは負の値として与えることができます。これは、負の位相に 360° を足して正の位相値を得るという簡単な方法で実装しています。したがって、負の位相シフトの範囲は –360 ~ 正の最大位相シフト 360 です。
CLKFBOUT フィードバック クロックの位相をシフトさせることもできます。その場合、すべての CLKOUT 出力クロックが CLKIN に対して負の方向に位相シフトします。PI のステップ値とカウンター遅延の値は、CLKFBOUT_PHASE と CLKOUT[0:6]_PHASE の値から自動的に求められます。