マルチチャネル フィルターは、無線通信、画像処理、マルチメディア アプリケーションなどで使用されます。マルチチャネル フィルターの主な長所は、複数の入力ストリーム (チャネル) に対して非常に高速な数学演算エレメントを使用することにより、サンプル レートを大幅に抑えられることにあります。この手法を使用すると、チャネル数にほぼ比例してシリコン効率が向上します。標準的なマルチチャネル フィルタリングでは、各チャネルに対して個別のデジタル フィルターを使用して、複数の入力チャネルがフィルタリングされます。DSP58 は性能が高いため、時分割多重化を使用することにより、1 つの DSP58 で最大 N チャネルを個別にフィルター処理できます。チャネル数 N は次式で求めます。
各 DSP58 は N 倍のクロックで駆動されます (DSP クロックは各チャネルのサンプルを駆動するクロックの N 倍)。N 個の入力ストリームは、N:1 マルチプレクサーを使用して 1 つのシリアル ストリームにインターリーブされます。正しく動作させるには、マルチプレクサーとデマルチプレクサーのセレクターを DSP58 と同じクロック速度で動作させる必要があります。N:1 にインターリーブしたストリームは、N + 1 FIFO (SRL として実装) に格納されます。この方法では、各チャネルを個別に実装した場合に比べ、 Versal® ACAP の全体的な使用リソースが 1/N に抑えられます。次の図に、2 タップ N チャネル フィルターの実装を示します。
このユース ケースに関連するリファレンス デザイン ファイルは、デザイン アーカイブ ファイル am004-versal-dsp-engine.zip の multichannel_FIR ディレクトリにあります。