アナログ電源とグランド

Versal アダプティブ SoC システム モニター アーキテクチャ マニュアル (AM006)

Document ID
AM006
Release Date
2023-12-13
Revision
1.4 日本語

SYSMON のアナログ回路には、アナログ電源 (VCCAUX_SMON) およびグランド (GND_SMON) 入力から電源とグランド基準を供給します。アナログ回路へのノイズ カップリングの一般的な構造は、電源およびグランド接続が原因となります。アナログ電源またはグランド基準での過剰ノイズは、ADC 測定の精度に影響を与えます。たとえば、I/O のスイッチング動作は、デジタルのグランド基準プレーンに大きな障害を引き起こします。したがって、SYSMON のグランド基準としてデジタル グランドを使用することは推奨しません。

同様に、インターコネクト ロジックのデジタル電源の場合、デカップリングしている場合でも高速スイッチング動作をすると、高周波数の電圧変動が生じやすくなります。ADC の性能に与えられるこれらの影響を緩和させるために、専用電源およびグランド基準があります。次の図に、1.5V の VCCAUX_PMC を使用してアナログ回路へ電源供給する方法を示します。VCCAUX_PMC は、ローパス ネットワークを使用してフィルターされます。フィルター デザインは、たとえばスイッチング レギュレータの使用時などは、VCCAUX_PMC 電源のリップルやリップル周波数 (存在する場合) によって異なります。外部基準電圧回路については電源除去比の仕様も考慮する必要があります。ADC の 10 ビット精度への影響を最小限に抑えるため、フィルターによって基準電圧出力のノイズを 1LSB (1mV) 未満にする必要があります。電源のリップル周波数によっては 10 ~ 20μH のインダクターがフェライト ビーズよりも適している場合があります。

ミックスド シグナル デザインの場合、一般的にはアナログ回路には別のアナログ グランド プレーンを使用し、アナログとデジタルのグランド リターン パスを分離します。共通グランド インピーダンスはノイズ カップリングが生じる構造であるため、PCB を設計する際には細心の考慮が必要です。10 ビット動作には独立したアナログ グランド プレーンを推奨しますが、通常はこれをデザインに実装することはほぼ不可能か非実用的です。たとえばオンチップ センサーのみを使用する場合、次の図に示すように VREFN とグランド基準 GND_SMON (トレースなど) をフェライト ビーズでデジタル グランド (プレーン) から分離するとコストを抑えることができます。

図 1. SYSMON のピン配置の要件
重要: 100nF のデカップリング キャパシタをパッケージ ボールに可能な限り近接させて配置し、デカップリング キャパシタとパッケージ ボール間のインダクタンスを最小限に抑えることが重要です。

フェライト ビーズは高周波数で抵抗として動作し、損失性インダクターとして機能します。フェライトによって、デジタル グランドとアナログ グランドを高周波分離させることが可能です。オンチップ基準電圧の使用を推奨していますが、外部基準電圧を使用する場合、IC は VREFP と VREFN.の差を 1.024V に維持します。フェライトはアナログ DC リターン電流にわずかな抵抗しか与えません。基準電圧入力は、基準電圧 IC からパッケージ ピンへ密結合された差動ペアとして配線される必要があります。同じ信号層に配線されている場合は、カップリングされたノイズに対して高い耐性を持つ電源およびアナログ グランド トレース (VCCAUX_SMON および GND_SMON) を使用して、基準電圧入力を保護してください。