鉛フリーのリフローはんだ付け

Versal アダプティブ SoC パッケージおよびピン配置 アーキテクチャ マニュアル (AM013)

Document ID
AM013
Release Date
2023-09-28
Revision
1.4 日本語

AMDは、コマーシャル グレード (XC) およびオートモーティブ グレード (XA) BGA パッケージ用に SnAgCu はんだボールを使用します。さらに、鉛フリーのはんだ付けプロセスで必要とされる高いリフロー温度 (最大 250℃、ドライ リワークのみの場合は 260℃) に適した材質を使用します。

AMDでは、Sn/Pb はんだ付けプロセスを使用する SnPb はんだペーストによる SnAgCu BGA パッケージ接合をサポートしていません。この温度範囲では、SnAgCu BGA はんだボールが適切に溶解されず、はんだ付け表面のぬれ性が十分ではありません。その結果、信頼性やアセンブリのイールドが低下します。

最適なリフロー温度プロファイルは、使用するはんだペースト/フラックス、ボード サイズ、ボード上のコンポーネント密度、大型コンポーネントと小型軽量コンポーネントの混在などを考慮して作成する必要があります。新しいボード デザインの温度プロファイルは、コンポーネント上の複数箇所で熱電対を使用して作成します。また、ボード上にデバイスが混在している場合は、ボード上の複数の位置で温度プロファイルをチェックする必要があります。最小リフロー温度が大規模なコンポーネントをリフローできる温度に達していると同時に、高熱に対応していない小さなコンポーネントを損傷する可能性がある温度しきい値を超えないように注意が必要です。

このセクションでは、鉛フリーのはんだリフローのガイドラインを示します。一般に、鉛フリーはんだ付けには、なだらかで線形な傾斜の RTS (Ramp-To-Spike) リフロー プロファイルが適していることがさまざまな機関から報告されています。このプロファイルは、従来の Sn/Pb システムの RSS (Ramp-Soak-Spike) プロファイルよりもぬれ性が向上し、熱ショックも軽減されます。SnAgCu 合金は、235°C で完全に液化します。プロファイルの際には、温度が最低であると考えられるはんだ接合部の位置を特定し、これらの位置において、235°C の最低ピーク温度が最低 10 秒間維持されていることを確認してください。260℃ またはそれ以上に高い温度でリフローすることは、熱に対して敏感なコンポーネントに損傷を与え、ボードに反りを起こす可能性があります。コンポーネント本体で許容可能なピーク温度については、最新の IPC/JEDEC J-STD-020 規格を参照してください。この温度は、コンポーネントのサイズによって決定されます。どのような場合でも、ピーク温度が最低となっているリフロー プロファイルを使用します。次のいくつかの表に、パッケージ本体のピーク リフロー温度をパッケージ サイズ別に示します。

表 1. パッケージ サイズが 45mm x 45mm 以下の場合の鉛フリーのはんだ付けガイドライン
プロファイル 対流型、IR/対流型
予熱時の温度上昇率 30 ~ 150°C 2℃/秒 (最大)

1°C/秒 (最大) (スティフナー リング付きリッドレス パッケージ)

予熱温度ソーク時間 150 ~ 200°C 60 ~ 120 秒
217℃ 以上に維持する時間 60 ~ 150 秒 (標準は 60 ~ 90 秒)
ピーク温度から 5℃ 以内の時間 30 秒 (最大)
ピーク温度 (リード/ボール) 230 ~ 245°C (標準) (はんだペースト、ボード サイズ、コンポーネントの組み合わせに依存)
最大ピーク温度 (本体) 240 ~ 250°C、パッケージの本体サイズに依存 (各 Versal デバイスのデータシートを参照)。
温度下降率 2℃/秒 (最大)
25°C からピーク温度までの時間 3.5 分 (最短)、5.0 分 (標準)、8 分 (最長)
表 2. パッケージ サイズが 45mm x 45mm より大きく 55mm x 55mm 以下の場合の鉛フリーのはんだ付けガイドライン
プロファイル 対流型、IR/対流型
予熱時の温度上昇率 30 ~ 150°C 0.5°C/秒~ 1.5°C/秒
予熱温度ソーク時間 150 ~ 190°C 65 ~ 70 秒
217℃ 以上に維持する時間 50 ~ 60 秒
最大ピーク温度 (本体) 234 ~ 238°C、パッケージの本体サイズに依存 (各 Versal デバイスのデータシートを参照)。
温度下降率 240 ~ 125°C 1°C/秒~ 2°C/秒
表 3. パッケージ サイズが 55mm x 55mm より大きい場合の鉛フリーのはんだ付けガイドライン
プロファイル 対流型、IR/対流型
予熱時の温度上昇率 30 ~ 150°C 0.5°C/秒~ 1.5°C/秒
予熱温度ソーク時間 150 ~ 190°C 76 ~ 81 秒
217℃ 以上に維持する時間 77 ~ 93 秒
最大ピーク温度 (本体) 231 ~ 240°C、パッケージの本体サイズに依存 (各 Versal デバイスのデータシートを参照)。
温度下降率 240 ~ 185°C 0.7°C/秒~ 0.8°C/秒
温度下降率 185 ~ 125°C 1.6°C/秒~ 1.75°C/秒
図 1. 鉛フリーのはんだ付けプロセスにおける一般的な条件