ハードウェア エミュレーション - 2023.2 日本語

Versal アダプティブ SoC デザイン ガイド (UG1273)

Document ID
UG1273
Release Date
2023-10-25
Version
2023.2 日本語

ハードウェア エミュレーションは、AI エンジン、PS、および PL で構成される Versal アダプティブ SoC システム全体をシミュレーションします。Vitis ソフトウェア プラットフォームを使用する場合、3 つのコンピューティング ドメインすべてを対象とするブロックおよび関数を統合できます。Vitis リンカーによって、次に示す RTL、SystemC、QEMU モデルを含む完全な協調シミュレーションのセットアップが自動生成されます。

  • PS で実行されるエンベデッド ソフトウェア コードは、QEMU を使用してエミュレートされます。
  • AI エンジンで実行されるコードは、SystemC AI エンジン シミュレータを使用してエミュレートされます。
  • ユーザー PL カーネルは、RTL コードとしてシミュレーションされます。
  • ハードウェア プラットフォームの IP ブロックは、利用できるモデルのタイプに応じて RTL または SystemC TLM としてシミュレーションされます。

その結果、Vitis ハードウェア エミュレーションの抽象化は、完全なサイクル精度ではありませんが、非常に近いと言えます。Versal アダプティブ SoC プラットフォームの一部は、シミュレーション速度にフォーカスする TLM モデルで抽象化されます。

Vitis ハードウェア エミュレーションの範囲も、その目的に応じて対応します。ハードウェア エミュレーションはデザイン全体のシミュレーションが可能なため、実装前に PL、PS、AI エンジン間の相互作用をテストできます。ハードウェア エミュレーションは、アプリケーションの全側面を可視化したデバッグ機能を提供するため、実際のハードウェアよりも簡単に複雑な問題を解決できます。

ハードウェア シミュレーションは、Vitis で利用できます。詳細は、 『Vitis 統合ソフトウェア プラットフォームの資料: アプリケーション アクセラレーション開発』 (UG1393) および 『AI エンジン ツールおよびフロー ユーザー ガイド』 (UG1076) を参照してください。

ファイル ベースの入出力の代わりに、AXI トラフィック ジェネレーターも使用できます。ファイル ベースの入出力は静的で制限がありますが、AXI トラフィック ジェネレーターは動的にデータを生成および使用できます。詳細は、AXIS External Traffic Generator Feature Tutorial を参照してください。

AXI トラフィック ジェネレーターには、次のような利点があります。

  • AI エンジン のシミュレーションで使用したのと同じシミュレーション セットを再利用できる
  • システム内の一部のブロックをトラフィック ジェネレーターで抽象化してシミュレーション速度を向上できる
注記: ハードウェア エミュレーションは、プラットフォーム ベースのデザイン フローでのみサポートされます。