Vitis 環境の制約の指定 - 2023.2 日本語

Versal アダプティブ SoC ハードウェア、IP、およびプラットフォーム開発設計手法ガイド (UG1387)

Document ID
UG1387
Release Date
2023-11-15
Version
2023.2 日本語

AMD Vitis™ 環境では、ハードウェア カーネルを C/C++ カーネルまたは RTL カーネルとして指定できます。

  • C/C++ カーネルを使用する場合は、Vitis HLS を使用して、合成またはインプリメンテーション用の追加のユーザー制約を指定する必要があります。Vitis HLS からの出力は、IP パッケージャーを使用してパッケージする必要があります。このパッケージされた IP には、ユーザー制約とツールで生成された制約の両方が含まれます。詳細は、『Vitis 高位合成ユーザー ガイド』 (UG1399) を参照してください。
  • RTL カーネルを使用する場合、IP パッケージで追加の合成制約およびインプリメンテーション制約を指定する必要があります。詳細は、 『Vivado Design Suite ユーザー ガイド: カスタム IP の作成とパッケージ』 (UG1118) を参照してください。

Vitis 環境では、合成およびインプリメンテーションのデザイン制約はすべて、IP と共にパッケージする必要があります。IP のパッケージ後に合成用に追加の制約を追加する必要がある場合は、それらの制約を含めて IP をパッケージし直す必要があります。

インプリメンテーションで使用する追加の XDC 制約は、IP をパッケージした後に指定できます。Vitis 環境では、Vivado ツールによりプログラマブル ロジック領域をインプリメントするプロセスは抽象化されますが、Vitis 環境から Vivado ツール フローを制御するアドバンス オプションも提供されています。 これらのアドバンス制御を使用すると、init_designopt_designplace_designphys_opt_design route_designwrite_device_image などの各インプリメンテーション段階の前後に実行する Tcl スクリプトを指定できます。Tcl スクリプト機能の詳細は、 『Vivado Design Suite ユーザー ガイド: Tcl スクリプト機能の使用』 (UG894) を参照してください。プリ/ポスト Tcl スクリプトを利用すると、read_xdc または source Tcl コマンドを使用して追加の XDC 制約を適用するなど、特定の Vivado ツール コマンドを実行できます。

プリ/ポスト Tcl スクリプトは、Vitis 環境設定ファイルを使用して指定するか、または v++ コンパイラのコマンド ラインで直接指定できます。

Vitis 環境設定ファイル内でプリ/ポスト Tcl スクリプトを指定するには、[vivado] セクション内で prop=run.impl_1.STEP.<PHASE>.TCL.<PRE|POST> パラメーターを使用します。

説明:

  • <PHASE>: インプリメンテーションの段階を指定します。有効な値は、INIT_DESIGNOPT_DESIGNPLACE_DESIGNPHYS_OPT_DESIGNROUTE_DESIGN、または WRITE_DEVICE_IMAGE です。
  • PRE: スクリプトを指定したインプリメンテーション段階の前に実行します。
  • POST: スクリプトを指定したインプリメンテーション段階の後に実行します。

次に例を示します。

[vivado]
prop=run.impl_1.STEPS.OPT_DESIGN.TCL.PRE=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.OPT_DESIGN.TCL.POST=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.PLACE_DESIGN.TCL.PRE=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.PLACE_DESIGN.TCL.POST=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.PHYS_OPT_DESIGN.TCL.PRE=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.PHYS_OPT_DESIGN.TCL.POST=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.ROUTE_DESIGN.TCL.PRE=<pathToTclScript>
prop=run.impl_1.STEPS.ROUTE_DESIGN.TCL.POST=<pathToTclScript>

プリ/ポスト Tcl スクリプトを v++ パラメーターとして指定するには、--vivado.prop run.impl_1.STEP.<PHASE>.TCL.<PRE|POST>=<pathToTclScript> コマンド ライン オプション使用します。たとえば、Tcl スクリプトを opt_design の前に実行するには、次のように指定します。

--vivado.prop run.impl_1.STEP.OPT_DESIGN.TCL.PRE=<pathToTclScript>

説明:

  • --vivado: Vivado ツールの指示子を指定する v++ コマンド ライン オプションです。
  • prop: プロパティ設定を示します。
  • run.: run プロパティを示します。
  • impl_1.: run の名前です。
  • STEP.OPT_DESIGN.TCL.PRE: 指定する run プロパティです。
  • <pathToTclScript>: プロパティ値を指定します。