デザイン クロージャ - 2023.2 日本語

Versal アダプティブ SoC システム統合および検証設計手法ガイド (UG1388)

Document ID
UG1388
Release Date
2023-11-15
Version
2023.2 日本語

デザイン クロージャは、システム パフォーマンス、タイミング、および消費電力要件すべてを満たすことと、ハードウェアで機能を検証する作業を含みます。デザイン クロージャは、デザインをインプリメントすることから開始しますが、タイミングおよび消費電力要件を満たすことを最優先にする必要があります。

デザイン クロージャのこの段階では、デザイン使用率、タイミング、および消費電力の見積り精度が上がります。これにより、タイミングと消費電力の目標が達成可能であることを再確認できます。デザインが要件を満たすことを確認するため、AMDではタイミングと消費電力のベースラインを実行することをお奨めします。タイミング ベースラインは、正確なタイミング制約を定義した後に、タイミング パスを評価することが主な目的です。消費電力ベースラインは、正確なダイナミック消費電力情報を決定するため、AMD Vivado™ ツールに正しいトグル情報を供給する必要があります。

消費電力要件とタイミング要件の解析を組み合わせると、一方が大幅に満たされない場合に、その解決策がもう一方に大きな影響を与える可能性があります。次に例を示します。

  • 消費電力バジェットを満たすため、機能を縮小するなど、極端な対策が必要な場合があります。これにより、デバイスの密集が緩和するので、タイミング クロージャの達成が大幅に容易になります。
  • これほど極端でない対策には、スイッチングを削減するためのロジックの追加などがあります。これにより、特にこれがダイの密集したエリアである場合に、タイミング クロージャが困難になる可能性があります。

消費電力を削減するほとんどの操作はタイミング クロージャには影響しませんが、操作によってはタイミング クロージャが困難になる可能性はあります。必要な消費電力削減手法を早期に適用することで、タイミング クロージャに必要なタスクの規模を理解できます。

ベースラインから反復を開始したら、タイミングを改善するたびに消費電力の値を確認する必要があります。これにより、どの変更により問題が引き起こされたかを理解できます。一般的には、大規模な消費電力削減機能を早期にオンにし、タイミング問題の原因となっている項目を縮小するようにすると、デザイン クロージャの目標を達成するための適切なバランスを取ることができます。

デザイン クロージャのインプリメンテーション段階の初期に消費電力解析とタイミング解析を一緒に実行することにより、エンジニアリング時間が短縮され、より正確なプロジェクト プランニングが可能になります。また、設計サイクルの後の方で実行するよりも、エンジニアリング ソリューションを探索する時間を持つことができます。

ヒント: この章で言及されているレポートの詳細は、 『Vivado Design Suite ユーザー ガイド: デザイン解析およびクロージャ テクニック』 (UG906) を参照してください。
重要: アプリケーションのパフォーマンス要件は通常、主要なブロック (PL ベースまたはハード IP) 間に適切な接続アーキテクチャ、制御ブロックおよび計算ブロックに適切なスループットとレイテンシ バジェット、ブロックとストレージ間のデータ移動に適切なサービス品質 (QoS) を作成することによって満たされます。すべての PL ブロックで可能な限り最高のクロック周波数を達成することは、通常パフォーマンス目標を達成するために必要ではなく、ロジック エリアが増大して消費電力が増加するだけでパフォーマンスが向上しないことがあります。