インプリメンテーション レポートには、合成および配置配線が実行された場合、その結果が含まれます。レポートには、次のセクションが含まれます。
- [General Information]
- デザインおよびインプリメンテーションに関する一般的な情報を提供します。
- [Run Constraints and Options]
- RTL 合成実行または配置配線実行のいずれかまたはその両方に設定された制約およびオプションをレポートします。これは、実行に対して設定または変更された制約を示します。
- [Resource Usage]/[Final Timing]
- [Resource Usage] と [Final Timing] セクションには、RTL 合成実行または配置配線実行によって達成されるリソースとタイミングのクイック サマリが表示されます。これらのセクションでは、リソース使用率の概要とタイミング目標が達成されたかどうかのステータスについて、かなり大まかに表示されます。タイミング問題のデバッグに役立つ詳細な情報は、この後のセクションに表示されます。
- リソース
- この表には、モジュールごとにリソースの詳細が表示されます。ソース コードからの元の変数とソースの場所の情報を表示することもできます。特定のリソースがユーザー指定のプラグマの結果であった場合は、このリソースも表に示すことができます。これにより、ユーザーの C コードを合成済みの RTL インプリメンテーションに関連付けることができます。このレポートは Vivado がデザインを合成した後のものなので、DSP やその他のロジック ユニットなどの機能ブロックがすべて回路内にインスタンシエートされているので、詳細に確認することをお勧めします。
- [Fail Fast]
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Vivado が提供するフェイル ファースト レポートは、ツールで発生した特定の問題を調べるためのガイドとして使用できます。フェイル ファースト レポートでは、REVIEW のステータスのものすべてを確認し、インプリメンテーションおよびタイミング クロージャを改善する必要があります。フェイル ファースト レポートには、ほかにも次のセクションがあります。
- デザイン特性: デフォルトの使用率ガイドラインは SSI テクノロジ デバイスに基づいているので、SSI デバイス以外では緩めることができます。REVIEW チェックのあるデザインは実現可能ではありますが、インプリメントはしにくくなります。
- クロッキング チェック: これらのチェックはクリティカルなので必ず解決する必要があります。
- LUT とネットのバジェット: 保守的な方法を使用して、デバイス使用率が高くて配置後にタイミングを満たす可能性の低いロジックを予測しやすくします。
図 1. デザインの特性
- [Timing Paths]
- タイミング パス レポートには、デザインのワースト スラックになるタイミング クリティカル パスが表示されます。デフォルトでは、トップ 10 のワースト ネガティブ スラック パスが表示されます。表内の各パスには、1 つのフリップフロップから別のフリップフロップへの組み合わせパスを示す詳細な情報が含まれます。こういった長い組み合わせパスを分割して、タイミングの問題に対処する必要があります。そのため、これらのパスと、それらがどこから来ているかを解析し、これらのパスをユーザーの C コードで見つける必要があります。これらのパスと前述のリソースの表の両方を使用すると、ソース コードのパスを見つけて関連付けやすくなります。
次の図からは、Place & Route レポート内のトップ 10 のネガティブ スラック パスのロジック段数 (9) が、実際には、RTL Synthesis 後 (5) よりも多くなっており、最大ファンアウトも 64 → 9366 に悪化していることがわかります。これは、デザイン内の密集により、ロジック段数が増えて、ファンアウトも増えたために、タイミングの達成に問題が生じることを明確に示しています。このようなヒントを使用して、C コードを書き直すか、または BRAM/LUTRAM/URAM リソースの選択に関して異なるデザイン決定をしてデザインを変更すると、この密集の一部をなくすことができます。
図 2. RTL 合成のタイミング パス