システム検証に関するプランニング - 2023.2 日本語

Versal アダプティブ SoC システムおよびソリューション プランニング設計手法ガイド (UG1504)

Document ID
UG1504
Release Date
2023-11-15
Version
2023.2 日本語

異なるコンピューティング ドメインがある複雑な AMD Versal™ アダプティブ SoC デザインは、従来の FPGA シミュレーション手法では対応できません。従来の FPGA シミュレーションでは、ロジック シミュレーションでデザインの大半を検証できますが、Versal アダプティブ SoC デザインの場合、プログラマブル ロジックは複数ある中の 1 つのコンピューティング ドメインにすぎず、シミュレーションではソフトウェア ドメインのほかにも AI エンジン ドメイン (使用する場合) も考慮する必要があります。

Versal アダプティブ SoC のシステム シミュレーション手法では、階層的なアプローチを採用しています。この手法では、必要に応じて各コンピューティング ドメインを個別にシミュレーションし、さらに必要な場合はシステム全体のシミュレーションも実行できます。

このシステム シミュレーション手法は、主に次のコンセプトをベースに開発されました。

シミュレーション範囲
シミュレーション範囲は、システム全体または一部を選択できます。AMD は、各ブロックと機能を個別に検証してから、システム全体を統合してシミュレーションを実行することを推奨しています。異なるシミュレーション フローを使用することで、PS、PL、AI エンジンなどのさまざまなコンピューティング ドメインをテストできます。
シミュレーションの抽象化
異なる抽象化レベルで特定の機能をシミュレーションできます。たとえば、AI エンジン コードは時間概念なし (untimed) モデルまたはサイクル近似モデルとしてシミュレーションできます。HLS コードは、時間概念なしモデルまたは RTL (サイクル精度) モデルとしてシミュレーションできます。NoC や DDR コントローラーなどの特定の Versal アダプティブ SoC インフラストラクチャ ブロックは、SystemC トランザクション レベル モデル (TLM) や RTL モデルとしてシミュレーションできます。抽象化レベルによって、シミュレーションの速度と精度のトレードオフが可能です。
シミュレーションの目的
各シミュレーションにはそれぞれの目的があります。たとえば、機能検証や性能評価に重点を置いていているかや、単一機能の検証、または複数機能の相互作用の検証、いずれに重点を置いているかなどです。シミュレーションの目的によって、シミュレーションのセットアップとコンフィギュレーションも異なります。目的は、シミュレーションの範囲や抽象化と密接に関連しています。
注記: 詳細は、 『Versal アダプティブ SoC デザイン ガイド』 (UG1273) および 『Versal アダプティブ SoC システム統合および検証設計手法ガイド』 (UG1388) を参照してください。