電源分配システム - 2023.2 日本語

Versal アダプティブ SoC ボード システム設計手法ガイド (UG1506)

Document ID
UG1506
Release Date
2023-11-15
Version
2023.2 日本語

AMD デバイスの電源分配システム (PDS) を設計する際は、独特のタスクが必要となります。大型マイクロプロセッサなど、ほかの大型で集積度の高い回路のほとんどには、特定のバイパス キャパシタ要件があります。これらのデバイスはハード化されたシリコン アーキテクチャで特定のタスクをインプリメントするために設計されているので、それらの電源要件は固定しており、変動は通常ある一定の範囲内です。

AMD アダプティブ SoC には、このような特性はありません。デバイスには、複数のクロック ドメインを使用したユーザー指定の周波数で動作するアプリケーションをほぼ無制限にインプリメントできます。

そのため、デザインの消費電力要件を理解しておくことが重要です。デザインの消費電力要件は、Power Design Manager (PDM) ツール (japan.xilinx.com/power からダウンロード) で消費電力を見積もることにより評価できます。また、該当するデバイスの PCB デザイン ガイドを参照して、消費電力見積もりの前に PDS の配置および一般的なデカップリング要件を理解しておくようにしてください。

注記: PDM ツールでは、望ましい電源統合を選択し、消費電力見積もりに基づいてユーザー特定のデカップリング要件を生成できます。

PDS の設計では、主に次の事項を考慮する必要があります。

  • 消費電力見積もりに基づき、ノイズおよび電流の要件を満たすために適切な電圧レギュレータを選択します。詳細は、 『Versal アダプティブ SoC システム統合および検証設計手法ガイド』 (UG1388)このセクションを参照してください。
    注記: 電源デザインを可能にし、単純化するため、AMD パートナーと主要な電源ベンダーにより、すべての消費電力要件を満たすリファレンス デザインが設計、ビルド、テストされています。詳細は、AMD ウェブサイト電力効率ページの [電力管理ソリューション] タブを参照してください。
  • 電源を統合します。 PDM ツールでは、[Power Design] ページの [Solution] で [Full Power Management] または [Minimum Power Rails] を選択できます。
    電源/消費電力ヒント: AMD では、各レールの電源を監視するため、分路抵抗を追加することをお勧めします。または、PMBus がイネーブルのレギュレータまたは電流監視集積回路 (IC) を使用できます。
  • Sysmon 電源 (VCCAUX_SMON) を設定します。
  • 電源分配ネットワーク (PDN) シミュレーションを実行します。 PDM ツール の [Power Design] ページに示されている数のデカップリング キャパシタを使用してください。これらの値は、レールごとのステップ負荷の初期前提に基づいています。より正確な要件を得るため、実際のデザインに合うよう値を変更できます。PDN シミュレーションを実行すると、電源を確実に推奨される動作範囲内にするために必要なデカップリング キャパシタの適切な数を確認するのに役立ちます。
    注記: 『Versal アダプティブ SoC PCB デザイン ユーザー ガイド』 (UG863) に示されているキャパシタの配置に従ってください。
電源/消費電力ヒント: AMD では各デバイスの S パラメーター モデルを提供しており、PDM ツールの [Power Design] ページからアクセスできます。

PDN シミュレーションの詳細は、 『S パラメーター モデルを使用した FPGA パワー インテグリティのシミュレーション』 (WP411) を参照してください。

電源/消費電力ヒント: AMD では、SIMetrix/SIMPLIS で SIMPLIS シミュレータを使用して電源デザインをシミュレーションし、デザインの動作条件が AMD の推奨する範囲内であることを確認することをお勧めします。ほとんどの電源ベンダーは、このシミュレーションを実行するのに必要な限定バージョンの SIMPLIS とモデルを提供しています。SIMPLIS は、電圧レギュレータの過渡および AC 解析に使用されるサードパーティ ソフトウェアです。電力供給のシミュレーションに関する詳細は、SIMPLIS または該当する電力供給ベンダーにお問い合わせください。
電源/消費電力ヒント: 各レールに必要な電流が使用する電源供給システムの制限を超えないようにするため、Vivado ツールの report_power コマンドを使用して、レギュレータまたは電圧レギュレータ モジュール (VRM) ごとに消費電力を解析できます。詳細は、 『Versal アダプティブ SoC システム統合および検証設計手法ガイド』 (UG1388)このセクションを参照してください。