Xilinx Power Estimator (XPE) は、通常プロジェクトの設計前とインプリメンテーション前の段階で使用されるスプレッドシート形式の消費電力見積もりツールです。これは、アプリケーションに合わせたアーキテクチャ評価やデバイス選択に有効で、適切な電源および熱設計部品の選択にも役立ちます。
XPE は、デザインで使用されているリソース、トグル レート、I/O 負荷、およびその他多数の要素を含んだデバイス モデルを考慮して消費電力を見積もります。デバイス モデルは測定値、シミュレーションおよび既知の値に基づいた推定値から作成されています。XPE の精度は、次の 2 組の入力要素に依存します。
- デバイスの使用率、コンポーネントのコンフィギュレーション、クロック レート、イネーブル レート、トグル レート、およびユーザーがツールに入力するその他の情報
- ツールに統合されているデバイスのデータ モデル
アプリケーションの正確な消費電力を見積もるには、できるだけ現実的な情報を入力してください。デザインのある側面を厳しすぎる設定でモデリングしたり、デザインに関する知識が十分でないままモデリングしたりすると、見積もり値が非現実的になりかねません。このユーザー ガイドでは、XPE を使用して、ワースト ケースおよび標準の消費電力値を求める方法について説明します。
XPE は、デザイン サイクルの早期段階またはレジスタ転送レベル (RTL) の詳細がまだわからない場合など、インプリメンテーション前に使用するツールです。インプリメンテーション後に XPower Analyzer (XPA) ツール ( Design Suite の場合) または [Report Power] (AMD Vivado™ Design Suite の場合) を使用すると、より正確な見積もりおよび消費電力解析を実行できます。XPA の詳細は、XPower Analyzer ヘルプを参照してください。Vivado ツールの消費電力解析機能の詳細は、 『Vivado Design Suite ユーザー ガイド: 消費電力解析および最適化』 (UG907) を参照してください。
XPE はスプレッドシートを使用しているため、Microsoft Excel の全機能をそのまま使用でき、各セクションは保護されていないので書き込み可能です。XPE には、さらに使いやすさを重視した機能も追加されています。その他に、ドロップダウン リストやコメントが有効なセルなど、ユーザーにとって便利な機能も備えています。
XPE スプレッドシートには、Quick Estimate ウィザード、Memory Interface Configuration ウィザード、Memory Generator ウィザード (ブロック メモリおよび分散メモリ向け)、および Transceiver Configuration ウィザードも含まれています。これらのウィザードは、ツールの初心者および使用に慣れているユーザーがすばやく重要なコンフィギュレーション パラメーターを入力するのに役立ちます。入力後、それらに関連するエントリが [I/O]、[Logic]、[BRAM]、[GTH] などのシートに生成され、消費電力の正確な見積もりに用いられます。