はじめに - 2023.2 日本語

Xilinx Power Estimator ユーザー ガイド (UG440)

Document ID
UG440
Release Date
2023-10-19
Version
2023.2 日本語

Xilinx Power Estimator (XPE) は、通常プロジェクトの設計前とインプリメンテーション前の段階で使用されるスプレッドシート形式の消費電力見積もりツールです。これは、アプリケーションに合わせたアーキテクチャ評価やデバイス選択に有効で、適切な電源および熱設計部品の選択にも役立ちます。

XPE は、デザインで使用されているリソース、トグル レート、I/O 負荷、およびその他多数の要素を含んだデバイス モデルを考慮して消費電力を見積もります。デバイス モデルは測定値、シミュレーションおよび既知の値に基づいた推定値から作成されています。XPE の精度は、次の 2 組の入力要素に依存します。

  • デバイスの使用率、コンポーネントのコンフィギュレーション、クロック レート、イネーブル レート、トグル レート、およびユーザーがツールに入力するその他の情報
  • ツールに統合されているデバイスのデータ モデル

アプリケーションの正確な消費電力を見積もるには、できるだけ現実的な情報を入力してください。デザインのある側面を厳しすぎる設定でモデリングしたり、デザインに関する知識が十分でないままモデリングしたりすると、見積もり値が非現実的になりかねません。このユーザー ガイドでは、XPE を使用して、ワースト ケースおよび標準の消費電力値を求める方法について説明します。

XPE は、デザイン サイクルの早期段階またはレジスタ転送レベル (RTL) の詳細がまだわからない場合など、インプリメンテーション前に使用するツールです。インプリメンテーション後に XPower Analyzer (XPA) ツール ( Design Suite の場合) または [Report Power] (AMD Vivado™ Design Suite の場合) を使用すると、より正確な見積もりおよび消費電力解析を実行できます。XPA の詳細は、XPower Analyzer ヘルプを参照してください。Vivado ツールの消費電力解析機能の詳細は、 『Vivado Design Suite ユーザー ガイド: 消費電力解析および最適化』 (UG907) を参照してください。

重要: AMD Versal™ アダプティブ SoC の消費電力の見積もりの詳細は、 『Power Design Manager ユーザー ガイド』 (UG1556) を参照してください。

XPE はスプレッドシートを使用しているため、Microsoft Excel の全機能をそのまま使用でき、各セクションは保護されていないので書き込み可能です。XPE には、さらに使いやすさを重視した機能も追加されています。その他に、ドロップダウン リストやコメントが有効なセルなど、ユーザーにとって便利な機能も備えています。

図 1. Xilinx Power Estimator スプレッドシート

XPE スプレッドシートには、Quick Estimate ウィザード、Memory Interface Configuration ウィザード、Memory Generator ウィザード (ブロック メモリおよび分散メモリ向け)、および Transceiver Configuration ウィザードも含まれています。これらのウィザードは、ツールの初心者および使用に慣れているユーザーがすばやく重要なコンフィギュレーション パラメーターを入力するのに役立ちます。入力後、それらに関連するエントリが [I/O]、[Logic]、[BRAM]、[GTH] などのシートに生成され、消費電力の正確な見積もりに用いられます。

ビデオ: Vivado Design Suite QuickTake ビデオ チュートリアル: Xilinx Power Estimator の使用: Xilinx Power Estimator を使用して、製品設計サイクルの早期段階、あるいは SoC または FPGA 内でロジックが設計される前に、電力および冷却仕様を決定する手順を解説しています。