電圧レギュレータは、電源供給先のデバイスからかなり離れた配置されることがあるため、特に高電流負荷がある場合、レギュレータとメイン POL (Point of Load) の間に DC 電圧の IR ドロップが発生しやすくなります。レギュレータがこの電圧降下を検出できない場合、POL 側の電圧が、レギュレータが認識している電圧よりもかなり低くなる可能性があります。結果として、その低い電圧が、デバイスの正常な動作に求められる電圧の範囲から外れることがあります。次の図に、電流の方向と、結果として発生する電圧降下を示します。
図 1. VRM と POL (Point of Load) 間の DC 電圧降下
この電圧降下の問題を解決するため、レギュレータは、レギュレータから POL へ直接接続されるセンス ラインを備えています。 このセンス ラインはレギュレータと POL 間の直接トレースであり、電流は流れません。電流が流れないため、レギュレータ側のセンス ピンの電圧は POL で見られる電圧とまったく同一です。したがってレギュレータは、POL 側の電圧が仕様の範囲内に収まるように、必要に応じて出力電圧を調整できます。次の図は、VRM から POL へのセンス ラインの配置配線の例を示します。
図 2. センス ラインの例