プレーナ抵抗に関する推奨事項

Versal アダプティブ SoC PCB デザイン ユーザー ガイド (UG863)

Document ID
UG863
Release Date
2024-04-01
Revision
1.8 日本語

IR 電圧損失を最小限に抑えてレール上に必要な電力を伝送するには、物理電源プレーンの設計が重要です。プレーンが狭いと (すなわち、プレーンにビア キープアウト サークルが多数あると)、センス ラインの配置が適切であっても、IR ドロップが大きくなりすぎてレギュレータによる調整が困難になることがあります。AMDは、PCB レイアウトの前後のシミュレーションを含む適切な消費電力解析を実行し、すべての DC および AC 仕様に従っているかを確認することを強く推奨します。

IR ドロップに関連するプレーン設計では、出発点として、レール上に想定される総電流に対する各電源プレーンの電圧降下を推奨の電圧デルタ (標準値 - 最小値) 以内に抑えるようにする必要があります。この電圧降下を総電流で割ると、レールの抵抗の最大値が得られます。

RMAX = (推奨標準電圧 – 推奨最小電圧)/総電流

推奨標準電圧と推奨最小電圧の値はデータシートに記載されています。総電流は PDM ツールで確認できます。

抵抗の最大値は、プレーンの IR ドロップにのみ関連し、熱要件などは考慮に入れていません。ほかのすべての要因を考慮に入れると、実際のプレーン抵抗の最大値はこれより小さくなる可能性があります。

例 1: VCCINT のプレーナ抵抗

中電圧デバイス (M) とすると、VCCINT の標準電圧は 0.80V です。これに対応する最小電圧は、0.775V です。電圧降下は、0.80V – 0.775V = 0.025V (すなわち、25mV) です。デザインの VCCINT に 99A の総電流が流れるとすると、RVCCINT = 0.025V/99A = 0.252mΩ になります。

例 2: VCCAUX のプレーナ抵抗

データシートによると、VCCAUX の標準値は 1.50V、最小値は 1.455V です。電圧降下は、1.50V – 1.455V = 0.045V (すなわち、45mV) です。デザインの総電流が 8A とすると、抵抗の最大値は 0.045V/8A = 5.625mΩ になります。