シフト レジスタの最適化 - 2023.2 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: インプリメンテーション (UG904)

Document ID
UG904
Release Date
2023-11-01
Version
2023.2 日本語

シフト レジスタの最適化を実行すると、シフト レジスタ セル (SRL) とほかのロジック セル間の負のスラック パスのタイミングが向上します。

シフト レジスタ セル (SRL16E または SRLC32E) に入出力するパスにタイミング違反がある場合、この最適化で SRL レジスタ チェーンの最初または最後のレジスタを抽出してロジック ファブリックに配置することにより、タイミングを向上します。この最適化により、元のクリティカル パスのワイヤ長が短くなります。

この最適化では、レジスタがシフト レジスタからロジック ファブリック移動されるだけで、ロジック ファブリックからシフト レジスタに移動されることはありません。ロジック ファブリックからシフト レジスタにレジスタを移動しても、タイミングは向上しません。

この最適化が実行されるための必要条件は、次のとおりです。

  • SRL アドレスが 1 以上で、SRL 外に移動できるレジスタ段がある。
  • SRL アドレスが一定値である (論理 1 または 0 で駆動)。
  • SRL セルで開始または終了するタイミング違反が最大のクリティカル パスの 1 つである。

次のような一部の回路トポロジは最適化されません。

  • 大型シフト レジスタを構成するためチェーン接続された SRLC32E。
  • Q31 出力ピンを使用する SRLC32E。
  • O5 および O6 出力の両方を使用して 1 つの LUT に組み合わせられた SRL16E。

SRL からロジック ファブリックに移動されるレジスタは FDRE セルです。FDRE および SRL INIT プロパティ、SRL アドレスは、それに応じて調整されます。次に例を示します。

クリティカル パスがシフト レジスタ (SRL16E) srl_inste から開始するとします。

図 1. シフト レジスタ srl_inste から開始するクリティカル パス

シフト レジスタの最適化後、タイミングを向上するため、シフト レジスタの最終段が SRL16E から取り出されてロジック ファブリックに配置されました。

図 2. シフト レジスタ最適化後のクリティカル パス

srl_inste SRL16E アドレスは、内部レジスタ段が 1 つ少なくなったことを反映して減少されます。srlopt レジスタがダウンストリーム セルの近くに配置され、FDRE セルの clock-to-output 遅延は比較的短いので、元のクリティカル パスは短くなります。