配線では、密集やホールド違反修正が多すぎるためにタイミング目標を満たすのが難しい場合は、メッセージが表示されるようになっています。このようなメッセージが表示されるのは、通常次のような場合です。
- 反復ごとの実行時間が数時間になる場合
- レポートされるオーバーラップが多すぎる (数百または数千の) 場合
- 見積もりタイミング サマリでセットアップおよびホールド スラックが徐々に悪化している場合
配線では、次のいずれかが発生すると、警告メッセージがさらに表示されることがあります。
- 密集のために、タイミング クロージャに悪影響があると判断される場合 (通常は密集レベルが 5 以上の場合)。レベル 5 は、密集領域が 32x32 (2^5 = 32) と測定されることを意味します。
- 全体的な配線のホールド修正エフォートがかなり高くなると予測される場合 (全体的なセットアップ用件を満たす機能に影響)。
- 特定の終点ピンがセットアップ クリティカルとホールド クリティカルの両方になり、どちらも満たすことが不可能な場合。メッセージには、デザイン解析用にピン名が最高 10 個まで表示されます。さらに、配線では、エンドポイント ピンと開始およびキャプチャ クロックを含む
tight_setup_hold_pins.txt
テキスト ファイルも生成されます。ヒント:tight_setup_hold_pins.txt
ファイルの Pin 値を使用し、次を使用してタイミング パスを改善します。report_timing -delay_type min_max -nworst 4 -to [get_pins <pin>] -name timing_set_hold_pin_1
- 特定の CLB のピン使用率または配線リソースの使用率が高い場合 (ローカル密集になる)。メッセージには、最も密集している CLB の名前が最大 10 個まで表示されます。
- 深刻な密集があるような極端なケースでは、密集によりすべてのネットが配線できないことを示す警告メッセージが表示され、タイミング最適化を使用して、ネットの配線が問題なく完了したものが優先されます。
UltraScale 移行のデバイスをターゲットにする際は、密集がタイミング クロージャに影響する可能性のある場合、密集の初期見積もりを示す表が生成されます。この表には、特定の領域は示されませんが、全体的な検証からのさまざまなタイプの密集が表示されます。密集は、Global (デザイン全体)、Long (複数の CLB にまたがる密集)、Short に分類されます。さまざまな run の表を比較することで、密集の悪影響を受けることなく、パフォーマンス目標を満たしやすい run がどれかを決定できるようになっています。
INFO: [Route 35-449] Initial Estimated Congestion
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| | Global Congestion | Long Congestion | Short Congestion |
|_____________|________|__________|________|__________|________|__________|
| Direction | Size | % Tiles | Size | % Tiles | Size | % Tiles |
|___________ |________|__________|________|__________|________|__________|
| NORTH| 32x32| 0.89| 32x32| 1.00| 32x32| 0.66|
|_____________|________|__________|________|__________|________|__________|
| SOUTH| 16x16| 0.68| 32x32| 0.75| 16x16| 0.53|
|_____________|________|__________|________|__________|________|__________|
| EAST| 4x4| 0.04| 8x8| 0.09| 4x4| 0.10|
|_____________|________|__________|________|__________|________|__________|
| WEST| 8x8| 0.18| 8x8| 0.09| 16x16| 0.50|
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[Report Design Analysis] では複雑さおよび密集度の解析が実行されるので、密集の原因と可能性のある回避策がわかりやすくなることがあります。密集レポートには、平均初期配線密集 (Average Initial Routing Congestion) も含まれます。これは、配線でレポートされる密集とまったく同じではありませんが、配線前のデザインに対して解析を実行して、どの領域が問題の原因となっているのかが判別するために使用できます。デザイン解析レポートの詳細は、 『Vivado Design Suite ユーザー ガイド: デザイン解析およびクロージャ テクニック』 (UG906) を参照してください。
エラー メッセージの重要度は、set_msg_config -id "Route 35-1" -new_severity "ERROR"
コマンドを使用して変更できます。
メッセージの重要度の変更を有効にするには、route_design
実行中に出力されるメッセージの場合は、route_design
を実行する前にこの変更を適用する必要があります。プロジェクト フローでは、この変更を配線前の Tcl スクリプトに追加できます。