タイミング クロージャのためのインテリジェント デザイン run は、タイミング クロージャを達成することのみを目的として、背局的に最適化を実行するインプリメンテーション run です。消費電力およびコンパイル時間は考慮されませんが、使用率を低減することで、ある程度の消費電力最適化が可能な場合があります。この run は、次の図に示すように、3 つの段階に分かれています。
図 1. IDR の概要
フローは完全に自動化されているので、どの段階を実行するのかをユーザーが制御することはできません。IDR を使用してタイミング クロージャの達成を試みる前に、デザインに設計手法上の問題がないことを確認しておく必要があります。report_methodology
を実行し、クリティカル警告および警告をすべて修正するか、修正をしないで先に進むことを選択します。
各段階の詳細は次のとおりです。
- 段階 1: デザイン最適化
- デザイン最適化段階では、QoR 推奨項目が生成されて適用されます。コンパイル時間は通常、標準インプリメンテーション run と比較して、最大で 2.5 倍になります。その理由は次のとおりです。
- 解析用に正確なデータを生成するため、インプリメンテーション ツールを配置後または配線後まで実行する必要がある。推奨項目を適用するため、デザイン run をリセットして、インプリメンテーション ツールを再実行する必要がある。
- 新しく解析を実行し、新たな推奨項目を生成する前に、QoR 推奨項目の影響を実際に確認できるので、デザインの問題の影響を過大評価することなく、結果的に QoR への影響を最大限にすることが可能。
- 段階 2: ツール オプションの検討
- この段階では、どのツール オプションを使用すればベストな結果が得られるのかを予測するために、ML ストラテジを使用します。
- 段階 3: ラスト マイル タイミング クロージャ
- この段階では、タイミング クロージャを達成するため、配線後の
phys_opt_design
、ラスト マイル指示子を使用したインクリメンタル インプリメンテーション、およびインクリメンタル QoR 推奨項目を利用します。この段階を実行するには、デザインの RQA スコアが 3 以上で、WNS が -0.250~0.000 である必要があります。これらの条件が満たされていないと、この段階はスキップされ、フローが終了します。
次の条件のいずれかが満たされると、フローは終了します。
- すべての段階でタイミングが満たされ、デザインが完全に配線されている。
- 段階 1 で、次のエラーが発生した。
- 初期段階のタイミング チェックでエラーが検出された。
- 初期段階の使用率チェックでエラーが検出された。
- 設計手法チェックがエラーが検出されたときに終了するツール オプションがアクティブになっており、ID が TIMING-6/7/8/13 の設計手法チェック エラーが検出された。
- デザインに配線エラーが発生した。
- ML ストラテジがない。
- 段階 2 でラスト マイル タイミング クロージャの条件が満たされていない。
- 段階 3 の最後に、ラスト マイル アルゴリズムが使用し尽くされ、これ以上の改善が不可能。