グローバル リセットのアクティビティ レートによって、消費電力の見積もりが大幅に変わることがあります。アクティビティ レートは、デザインの各ロジック ブロックのステートと、ロジック出力が変わる確率を示します。このレートが正しいスイッチング情報で設定されていない場合、消費電力見積もりは非現実的な値になります。たとえば、リセットは run が開始してから数サイクル間だけアサート (アクティブ) され、その後は非アクティブになるのが理想的です。これは、スイッチング アクティビティを使用して次のように記述することもできます。
[Report Power] コマンドでグローバル リセットとなるプライマリ ポートが特定され、上記のスイッチング アクティビティが適用されます。グローバル リセットの特定には、保守的で安全な方法 (最下位プリミティブのリセット ピンに直接接続されたポート) が使用されます。ただしこれは、リセット ロジックが特別なロジック回路 (リセット ジェネレーター、デバウンサー、リセット ストレッチングなど) を使用して内部で生成されるような複雑なデザインではあまり役に立ちません。リセット生成に関係するロジックがある場合、[Report Power] コマンドで設計の意図が認識されず、デフォルトのスイッチング情報が適用されません。
この場合、リセット アクティビティ情報は確率計算と伝搬アルゴリズムを使用して生成されたロジックから算出されます。確率計算は、ロジックの最下位プリミティブ レベルで実行されます。確率アルゴリズムにより、特定のロジック ブロック (深くネスト化されたフィードバック ロジックなど) の処理にラグが発生することがあり、リセット ネットのスイッチング アクティビティが予期しない結果になることがあります。
このようなグローバル リセット ネットに注意してください。これらのネットのアクティビティ レートは、[Net Properties] ウィンドウの [Power] ビューで直接設定します。
同等 Tcl コマンド:
set_switching_activity -static_probability 0.01 -signal_rate 2 [get_nets u1/clkRst_gen/user_reset]
また、消費電力レポートを使用すると、デザインのリセット ネットを特定しやすくなるので、これらのネットのスイッチング情報を検証して、それを修正処置を取ることができます。[Report Power] コマンドの初回テスト run をデフォルト設定を使用して実行すると、リセット ネットのアクティビティを解析できます。
消費電力レポートには、このリセット ネットの影響を受けるロジック セルの数が [Fanout] 列に表示されます。最初のスイッチング アクティビティの見積もりが正しくない場合は、消費電力レポートでそのネットをクリックし、[Net Properties] ウィンドウの [Power] ビューでプロパティを変更します (上図参照)。