Tandem コンフィギュレーションおよび Dynamic Function eXchange - 2023.2 日本語

Vivado Design Suite ユーザー ガイド: Dynamic Function eXchange (UG909)

Document ID
UG909
Release Date
2023-11-15
Version
2023.2 日本語

UltraScale デバイスには、デバイス上にある特定の 1 つの PCIe ブロックからコンフィギュレーション エンジンへの専用接続である MCAP が導入されており、パーシャル ビットストリームを効率的に配布できます。PCIe ブロックをコンフィギュレーション エンジンに接続するのに明示的な配線は必要なく、リソースを大幅に節約できます。

MCAP は、Dynamic Function eXchange または Tandem コンフィギュレーション機能を使用してAMD PCIe IP をカスタマイズするとイネーブルになります。これらの機能は、PCI Express をサポートする次の 3 つの IP コアで使用できます。

  • UltraScale Devices Gen3 Integrated Block for PCI Express LogiCORE IP 製品ガイド』 (PG156)
  • 『AXI Bridge for PCI Express Gen3 Subsystem 製品ガイド』 (PG194)
  • 『DMA/Bridge Subsystem for PCI Express 製品ガイド』 (PG195)
  • UltraScale+ Devices Integrated Block for PCI Express LogiCORE IP 製品ガイド』 (PG213)

Tandem コンフィギュレーションでは、IP をイネーブルにする 2 段階の手法を使用して、PCI Express 仕様で示されるコンフィギュレーション時間の要件が満たされます。次のユース ケースでは、この手法がサポートされています。

Tandem PROM
フラッシュから 1 つの 2 段階ビットストリームを読み込みます。
Tandem PCIe
フラッシュから第 1 段階ビットストリームを読み込み、第 2 段階ビットストリームを PCIe リンクを介して MCAP に送信します。
フィールド アップデートを含む Tandem
Tandem PROM (UltraScale のみ) または Tandem PCIe (UltraScale または UltraScale+) 初期コンフィギュレーションの後、PCIe リンクはアクティブのまま、ユーザー デザイン全体をアップデートします。アップデート領域 (フロアプラン) およびデザイン構造はあらかじめ定義されており、Tcl スクリプトは提供されています。
Tandem + Dynamic Function eXchange
これはより一般的な例で、Tandem コンフィギュレーションの後にあらゆるサイズまたは数のダイナミック領域の Dynamic Function eXchange を実行します。
PCIe を使用した DFX
PCIe/MCAP をパーシャル ビットストリームの配布パスとして使用し、標準コンフィギュレーションの後 DFX を実行します。

Tandem と DFX のソリューションには、その他の要件があります。このアプローチには、HD.TANDEM_IP_PBLOCK の Pblock とデザインの HD.RECONFIGURABLE 部分が重ならないようにする必要があります。標準 DFX デザインなど、それ以外の場合、どの数またはサイズの RP でも定義できます。

これらの機能をイネーブルにするには、コアをカスタマイズする際に適切なオプションを選択してください。Basic タブで次を実行します。

  1. ModeAdvanced に変更します。
  2. UltraScale の場合、Tandem Configuration or Partial Reconfiguration オプションを次のいずれかに変更します。
    • Tandem: Tandem PROM、Tandem PCIe、または Tandem + Dynamic Function eXchange の場合
    • Tandem with Field Updates: 定義済みフィールド アップデートの場合
    • DFX over PCIe: Tandem コンフィギュレーションをイネーブルにせず、Dynamic Function eXchange 用に MCAP リンクをイネーブルにする場合
  3. UltraScale+ の場合、Tandem Configuration or Partial Reconfiguration オプションを次のいずれかに変更します。
    • Tandem PROM: Tandem PROM または Tandem + Dynamic Function eXchange の場合
    • Tandem PCIe: Tandem PROM、Tandem PCIe、または Tandem + Dynamic Function eXchange の場合
    • Tandem PCIe with Field Updates: 定義済みフィールド アップデートの場合のみ。Tandem PROM では UltraScale+ のフィールド アップデートはサポートされません。
    • DFX over PCIe: Tandem コンフィギュレーションをイネーブルにせず、Dynamic Function eXchange 用に MCAP リンクをイネーブルにする場合

ほとんどの場合、選択する必要のある PCIe ブロックはデバイスの最下位インスタンスですが、3 つの SLR (Super Logic Region) を持つ SSI デバイスでは中央の SLR の最下位 PCIe インスタンスです。表 1 は、各デバイスでサポートされているブロックを示しています。その他の PCIe ブロックには、専用 MCAP 機能はありません。

Tandem with Field Updates: フィールド アップデートを伴う Tandem (PCIe) は、Tandem と DFX を 1 つのデザインに統合する定義済みのデザイン構造です。
UltraScale デバイス
ステージ 1 およびステージ 2 の両方が同じデザイン イメージからのものである必要があります。フィールド アップデート イベントの発生時には、ビットストリームをクリアする必要があり、ステージ 2 ビットストリームではなくパーシャル ビットストリームが配布されて、アプリケーションが変更されます。
UltraScale+ デバイス
リコンフィギャラブル ステージ 2 がサポートされます。これは、ステージ 1 を読み込んだ後に、互換性のあるステージ 2 ビットストリームを PCIe リンクを介して配布し、初期コンフィギュレーションを完了できるということです。フィールド アップデート イベントの発生時には、互換性のあるステージ 2 ビットストリームをパーシャル ビットストリームとして使用して、アプリケーションを変更できます。
ヒント: このフィールド アップデート ソリューションを使用する場合は、カスタマイズした IP で生成されたサンプル デザインを開始点として使用してください。

必要な PCIe ブロック ロケーション、デザイン フロー例、要件、制限事項、フィールド アップデートのフローの詳細、その他の考慮事項は、UltraScale デバイスの場合は UltraScale Devices Gen3 Integrated Block for PCI Express LogiCORE IP 製品ガイド』 (PG156) の Tandem コンフィギュレーションのセクションを、UltraScale+ デバイスの場合は UltraScale+ Devices Integrated Block for PCI Express LogiCORE IP 製品ガイド』 (PG213) を参照してください。

表 1. UltraScale: デバイス別の DFX をサポートする PCIe ブロックおよびリセットのロケーション
デバイス パッケージ PCIe ブロック PCIe リセットのロケーション ステータス
Kintex UltraScale
KU025 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
KU035 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
KU040 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
KU060 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X2Y103 プロダクション
KU085 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X2Y103 プロダクション
KU095 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
KU115 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X2Y103 プロダクション
AMD Virtex™ UltraScale™
XVU065 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
VU080 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
VU095 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
VU125 PCIE_3_1_X0Y0 IOB_X1Y103 プロダクション
VU160 PCIE_3_1_X0Y1 IOB_X1Y363 プロダクション
VU190 PCIE_3_1_X0Y2 IOB_X1Y363 プロダクション
VU440 PCIE_3_1_X0Y2 IOB_X1Y363 プロダクション

UltraScale デバイス専用の PCIe リセットのパッケージ ピンは、次の Tcl コマンドを使用して簡単に見つけることができます。

get_package_pins -of_objects [get_sites IOB_X1Y103]
表 2. UltraScale+: デバイス別の DFX をサポートする PCIe ブロックのロケーション
デバイス パッケージ PCIe ブロック ステータス 1
Kintex UltraScale+
KU3P PCIE40E4_X0Y0 プロダクション
KU5P PCIE40E4_X0Y0 プロダクション
KU11P PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
KU15P PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
KU19P MCAP がイネーブルの PCIe サイトなし PCIe での配布はサポートされない2
Virtex UltraScale+
VU3P PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
VU5P PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
VU7P PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
VU9P PCIE40E4_X1Y2 プロダクション
VU11P PCIE40E4_X0Y0 プロダクション
VU13P PCIE40E4_X0Y1 プロダクション
VU19P PCIE4CE4_X0Y2 プロダクション
VU23P PCIE4CE4_X0Y0 プロダクション
VU27P PCIE40E4_X0Y プロダクション
VU29P PCIE40E4_X0Y0 プロダクション
VU31P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
VU33P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
VU35P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
VU37P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
VU45P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
VU47P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
VU57P PCIE4CE4_X1Y0 プロダクション
AMD Zynq™ UltraScale+™ MPSoC
ZU4EV/EG/CC PCIE40E4_X0Y1 プロダクション
ZU5EV/EG/CC PCIE40E4_X0Y1 プロダクション
ZU7EV/EG/CC PCIE40E4_X0Y1 プロダクション
ZU11EG PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
ZU17EG PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
ZU19EG PCIE40E4_X1Y0 プロダクション
  1. コアおよびデバイスのサポート ステータスの最新情報については、使用する IP のその特定バージョンの製品ガイドを参照してください。
  2. KU19P にはマスター PCIe ブロック インスタンスはありません。デバイス内の 3 つの PCIe ブロックのいずれにも、コンフィギュレーションへの MCAP 接続は含まれません。このデバイスでは Tandem コンフィギュレーションはサポートされません。PCIe を介するパーシャル ビットストリームは ICAP に送信する必要があります。
注記: この表にリストされていないデバイスのプログラマブル ロジック部分には PCIe サイトはありません。または、Zynq RFSoC デバイスのように、プログラマブル ロジックに MCAP がイネーブルの PCIe サイトはありません。UltraScale とは異なり、UltraScale+ には PCIe リセット ピンへの専用接続はありませんが、AMDではバンク 65 のピンを使用することをお勧めします。

MCAP は、32 ビット データパスで 200 MHz で動作できます。通常、ビットストリームはホスト PC から PCI Express コンフィギュレーション パケットを介して MCAP に読み込まれます。これらのシステムでは、ホスト PC およびホスト PC ソフトウェアが MCAP パフォーマンスおよびビットストリームのスループットを制限する主な要因です。特定のホスト PC およびホスト PC ソフトウェアの PCIe パフォーマンスはシステムによって大きく異なるので、全体的な MCAP パフォーマンス スループットも大きく異なる可能性があります。

詳細およびサンプル ドライバーは、アンサー 64761 を参照してください。

MCAP ポートを使用したパーシャル ビットストリームのパフォーマンスでは十分ではない場合は、ICAP を使用できます。この方法を使用すると、PCIe エンドポイントからこの内部コンフィギュレーション ポートまでコンフィギュレーション データを送信するのに追加ロジックが必要になりますが、ICAP が最大クロック レート (モノリシック デバイスの場合は 200 MHz、SSI デバイスの場合は 125 MHz) の 32 ビット コンフィギュレーション データで飽和できます。詳細およびサンプル デザインは、 『PCI Express を使用する高速パーシャル リコンフィギュレーション』 (XAPP1338) を参照してください。

Tandem コンフィギュレーションおよび Versal デバイス

Versal デバイスは、CPM 内の PCIe エンドポイントの Tandem コンフィギュレーションをサポートします。デバイス イメージ構造は大きく異なりますが、2 段階読み込みの概念は同じです。Tandem PROM および Tandem PCIe は両方とも、CPM インスタンスを含むデバイスで使用できます。PL ベースの PCIe サイトでは Tandem はサポートされません。詳細は、 『Versal Adaptive SoC CPM Mode for PCI Express 製品ガイド』 (PG346) および 『Versal Adaptive SoC CPM DMA and Bridge Mode for PCI Express 製品ガイド』 (PG347) を参照してください。