熱ソリューションに関する考慮事項 - 2023.2 日本語

FPGA および SoC 用 UltraFast 設計手法ガイド (UG949)

Document ID
UG949
Release Date
2023-11-29
Version
2023.2 日本語

デザインの消費電力見積もりでは、熱ソリューションの効率を理解することが重要です。ジャンクション温度が低いほど、デザインのスタティック消費電力が低くなります。

AMD では、ご使用のデバイスにリッドレス パッケージがある場合は、それを使用することをお勧めします。リッドレス パッケージでは、より効率的な熱ソリューションが提供され、熱源に直接接触できるので熱伝導材料 (TIM) 層を削除できます。AMD のリッド付きパーツとリッドレス パーツの取り扱いおよび製造要件は同じです。次の図に、リッド付きデバイスおよびリッドレス デバイスのヒートシンクの取り付けを示します。

熱ヒント: AMD では、ヒートシンクは最小ボンド ラインの厚さ (BLT) を確実にする 20 ~ 50 重量ポンド毎平方インチ (PSI) をお勧めします。また、リッド付きおよびリッドレス デバイスの両方で、4 つの穴を使用して取り付け、圧力が均等になるようにしてください。リッドレス パッケージでのガイドラインは、 『リッドレス フリップチップ パッケージの機械/熱設計ガイドライン』 (XAPP1301) を参照してください。
図 1. ヒートシンクの例

AMD では、適当なマージンがあることを確認し、正確な消費電力見積もりを得るため、熱シミュレーションを実行することもお勧めします。Xilinx Power Estimator (XPE) スプレッドシート ツール (japan.xilinx.com/power からダウンロード) では、次の熱設定を指定できます。
[Junction Temperature] (ジャンクション温度 Tj)
この設定を熱シミュレーションに一致するジャンクション温度に変更できます。熱シミュレーションを実行しない場合は、ジャンクション温度をワースト ケースに設定します。
[Effective ΘJA]
熱ソリューションの熱効率をワット毎セルシウス度 (°C/W) で示します。たとえば、ΘJA が 2.1°C/W の場合、デバイスで 1 ワット消費されるたびにジャンクション温度が 2.1°C 上昇することを意味します。10W デザインでは、周囲温度からの温度上昇は 21°C です。
注記: ΘJA は、熱シミュレーションから次の式を使用して取得できます。
ΘJa = (Tj – Ta)/消費電力

次の図に、熱検証に推奨されるフローを示します。

図 2. 推奨される熱評価フロー

ジャンクション温度が仕様の範囲内で、十分なマージンが考慮されていれば、熱ソリューションは有効であるとみなすことができます。

熱ヒント: 消費電力見積もりおよび熱シミュレーションの結果を Vivado デザイン制約に追加します。次の XDC 制約を使用できます。これらの制約は、 『Xilinx Power Estimator ユーザー ガイド』 (UG440) で説明されているように、XPE からエクスポートできます。
# Standard Constraints:
set_operating_conditions -process Maximum
set_operating_conditions -design_power_budget <value>
#If thermal simulation completed
set_operating_conditions -ambient_temp <value>
set_operating_conditions -thetaja <value>
#Else if no thermal simulation completed
set_operating_conditions -junction_temp <value>