TIM 材料の種類

ザイリンクス デバイス向けヒートシンクおよび熱ソリューションの設計 (XAPP1377)

Document ID
XAPP1377
Release Date
2022-06-06
Revision
1.0 日本語

グリス、パテ、ペースト

一般に、ヒートシンクとデバイスの熱結合には、グリス、パテ、ペーストなど固形以外の TIM が使われます。通常、これらは定量塗布と制御が容易で、高い熱伝導率や低い熱接触抵抗など、熱特性にも優れています。ザイリンクスは、一部の PCM (相変化材料) ペーストは接触抵抗がさらに低く、TIM としての効果が非常に高いことを確認しています。一般に、PCM は温度変化に伴って材料が液化と固化の相変化を繰り返すタイプの TIM で、簡単に適用できるほか、単相材料に比べ接触抵抗も優れています。ザイリンクスは現在、 Alveo™ 製品に BLT、塗布性、接触抵抗のバランスが優れている Laird 780 SP PCM を使用しています。これはまた、浸出やドライアウトなどの長期的な問題への耐性があり、高い信頼性も備えています。この種の材料は、ザイリンクスのリッド付きおよびリッドレス製品で優れた性能を発揮することが実証されています。

熱伝導性パッド

通常、熱伝導性パッドは複数のデバイスを同じヒートシンクに接触させる場合など、熱ソリューションとデバイスを直接接触させることができない場合に使用します。熱伝導性パッドは、グリスやパテよりもより大きな高さ公差を補償できます。ザイリンクスは、熱伝導性パッドをリッドレス デバイスに直接接触させて使用することを推奨していません。これは、BLT の補償が大きく、リッドレス デバイスの特長である優れた性能が損なわれるためです。同様に、熱に関する条件の厳しい環境でリッド付きデバイスを使用する場合は、BLT を最適化し、非常に薄いパッドを使用するか、グリスやペーストなどの固形化していない TIM に変更することをザイリンクスは推奨しています。パッドを使用する場合は、単相材料よりも PCM ベース材料の方が全体的に性能が良く、接触抵抗をさらに最適化できます。

熱エポキシ、テープ、接着剤

ザイリンクスは、量産環境で TIM またはヒートシンク アタッチメントに熱エポキシ、熱テープ、またはその他の接着剤を使用することを推奨していません。接着剤を使用すると、次のような問題が起こる可能性があります。

  • 接触抵抗の増大
  • 不均一な熱接触
  • 信頼性の問題 (リッドが分離する可能性など)
  • TIM1 のボイド
  • 衝撃、落下、振動によるその他の損傷
  • デバッグやリワークが必要になった場合に困難

このため、ザイリンクスは接着剤以外の材料を TIM に使用することを推奨しています。