リッド付きデバイスとリッドレス デバイス

ザイリンクス デバイス向けヒートシンクおよび熱ソリューションの設計 (XAPP1377)

Document ID
XAPP1377
Release Date
2022-06-06
Revision
1.0 日本語

パッケージはリッド付きとリッドレスの 2 つに大別されます。リッドレス デバイスは、パッケージとリッド内部の TIM1 によってジャンクション-ケース間熱抵抗が増加することがないため、一般的にはリッド付きデバイスよりも熱性能は優れています。TIM1 は、リッド付きデバイス内でダイをデバイスのリッドに熱結合するための材料で、ザイリンクスによって塗布されます。リッドレス デバイスでは、熱ソリューションと熱源 (ダイ) を可能な限り近付けることができます。一方、リッド付きデバイスは伝統的な IC パッケージであり、規格品の熱ソリューションが容易に入手できるため、設計が簡単です。

信頼性の観点からは、リッド付きデバイスの方がダイを確実に保護できる一方、スティフナー リング付きリッドレス デバイスの方が高い強度を示します。これにより、ボード レベル信頼性 (BLR) 特性が向上します。BLR とは、衝撃、落下、振動など、デバイスの取り付けと信号の接続に影響を与える可能性のある要因のことをいいます。BLR には、ボードの湾曲、たわみ、反りなどの要因も含まれます。これにより、デバイスの一部または全体がボードから分離することがあります。

また、よくある誤解として、リッドレス デバイスでは汚染物質がパッケージ ボディに侵入してダイや内部パッケージ基板、パッケージ キャパシタに触れてしまうのに対し、リッド付きデバイスではこうした汚染が防止されると考えられています。確かにリッド付きデバイスの方が汚染対策に有利ではありますが、リッド付きデバイスにもガスの放出や水分の蒸発のための通気口があるため、パッケージ ボディが密閉されているわけではなく、同様の汚染対策が必要です。マクロ レベルではリッド付きデバイスとリッドレス デバイスの信頼性には違いがありますが、全体的にはどちらも非常に信頼性の高いパッケージであり、熱システムを設計する際の考慮事項に大きな違いはありません。