熱電対を使用した外部デバッグ

ザイリンクス デバイス向けヒートシンクおよび熱ソリューションの設計 (XAPP1377)

Document ID
XAPP1377
Release Date
2022-06-06
Revision
1.0 日本語

熱デバッグおよび特性評価では、システムに 1 つ以上の熱電対やサーミスタを設置し、リアルタイムに温度を測定するのが一般的な手法です。これにより、システムの熱性能と制限についての可視性が大幅に向上します。この場合、正確な結果を収集し、熱動作を適切に解釈するには、いくつかの注意事項があります。

ザイリンクスは、ヒートシンクとデバイスの間に熱電対を設置してケース温度を測定することを推奨していません。多くの場合、これは測定値の誤り、システムの性能低下、そして場合によってはデバイスへの損傷などを招くためです。代わりに、まずヒートシンクの外部ベース/フィンを複数箇所で測定し、ヒートシンクへの熱伝導を測定することが推奨されます。SYSMON の測定温度とヒートシンクの測定温度に大きな差がある場合は、まずヒートシンクとデバイスの接触状態や、ヒートシンクの構成を調べます。ここで問題が見つからず、それでもデバイスのケース温度測定が必要な場合は、デバイスの測定対象領域にアクセスできるようにヒートシンクにドリルで穴を開けることを推奨します。

この穴を介して、熱電対とデバイスがしっかりと接触するようにします。これは簡単ではありませんが、接触が不十分な場合、誤った測定値になることがよくあります。この測定方法は熱システムの改変/損傷を伴うため、最後の手段としてのみ推奨されます。システムの熱問題を理解するためにこの手段が必要になることはほとんどありません。繰り返し述べているように、熱電対を測定点に取り付ける際は、測定表面との十分な接触を維持する必要があります。熱電対がケースに直接接触していない場合や、エポキシの塗布量が多すぎる場合など、熱エポキシを適切に塗布しないと実際の表面温度と数度の差が生じることが明らかになっています。

熱電対を測定表面に固定する方法としては、後ではがせる熱テープの方がよく使用されます。ただし、ここでも接触が問題となります。テープの張りが弱かったり、貼り付け表面の状態が適切でないと、熱電対が浮き上がって測定値が低くなることがあります。こうした一般的な問題に加え、熱電対による測定自体にばらつきがあるため、結果を正しく解釈できないことがよくあります。こうした点を含め、データから結論を導き出す前に、誤差が生じるさまざまな要因を取り除いておく必要があります。