複数デバイスおよびパッケージ用ヒートシンクの設計

ザイリンクス デバイス向けヒートシンクおよび熱ソリューションの設計 (XAPP1377)

Document ID
XAPP1377
Release Date
2022-06-06
Revision
1.0 日本語

システムの多くには、熱管理の必要なデバイスが複数存在します。通常、これらすべてのデバイスに 1 つのヒートシンクを接触させることで、ヒートシンク設計をシンプルにするのが好ましいとされます。こうしたデザインには特有の検討事項が数多くあります。このセクションは、これらの事項を幅広く網羅するものではありませんが、このようなデザインに共通して見られる考慮事項をいくつか取り上げます。

このアプローチの最大のトレードオフは、ヒートシンクを接触させるデバイスごとに高さ公差が異なるため、TIM の厚さを増して対応しようとするとヒートシンクへの熱抵抗が増大し、熱性能が犠牲となる場合が多いことです。一般的には、最も発熱量の大きいコンポーネントからヒートシンクへの熱伝達を最優先し、そのコンポーネントに対して TIM の厚さを最適化することが推奨されます。たいていの場合、これによって発熱量の小さいデバイスは TIM の厚みがやや増してしまいます。熱マージンの厳しいデバイスが複数存在すると、バランスをとるのが難しくなります。それでも、デバイスが限界温度に近付くか、それを上回ることが想定される場合、システム性能を最大化するにはこの手順が欠かせません。

リッドレス デバイスの場合、ヒートシンクへの接触抵抗を管理することがより重要となり、これには一般的に 2 つの選択肢があります。1 つはヒートシンクに適切なアイランドを作り込み、リッドレス デバイスに対して BLT を最適化するという方法で、これが最も熱効率に優れた選択肢です。もう 1 つは、リッドレス デバイスのダイへの良好な熱接触を得るために、リッドレス デバイスの上部にフローティング リッド (中間ヒート スプレッダー) を取り付けて使用するという方法です。リッドレス デバイスに厚い TIM やギャップ フィラーを使用すると、ボイドが発生して熱抵抗が大きくなり、熱性能の低下と潜在的な信頼性の問題を引き起こすことがあるため、推奨されません。

複数デバイス用のヒートシンク ベースはサイズが大きくなるため、ベース内での熱拡散を管理することも重要な検討事項となります。このため、一般には冷却を最大化するため、およびデバイス間での加熱の影響を最小化するために、ヒートシンク ベース内に二相冷却を検討することがより重要になってきます。

最後に、複数デバイスに対する熱管理ソリューションにヒートシンク アタッチメントが存在する場合は、さらに大きな注意を必要とします。リッド付きおよびリッドレス パッケージには熱管理ソリューションから 20 ~ 50PSI の圧力を均一に印加する必要があり、ザイリンクス デバイスのすぐ近くにアタッチメントが配置されていないと、この圧力を管理するのが難しくなります。デバイスに最小圧力を印加できるかどうかが不明な場合や、それが不可能な場合は、ヒート スプレッダーを取り付けてザイリンクス デバイスに適切な圧力がかかるようにしてください。